下肢のしびれ、腰痛

下肢のしびれ、腰痛

少し歩くだけで出ていた脚の痺れが解消した

60代男性
来院に至った経緯
仕事は長年、海外を飛び回る仕事をしていた。飛行機の移動が多く、腰回りがいつも重たかった。本格的に腰を痛めたのは、5年ほど前になる。初孫を抱きかかえた瞬間に、腰にビリっと電気が走り翌日から3日間ほど動けなくなってしまった。

それから騙し騙し仕事をしていたが、ぎっくり腰のような症状になることはなく、1年前に仕事を引退することができた。現役時代は飛行機での移動も多かったが、その分歩いている時間も多かった。引退してから大好きな車の運転を楽しもうと長距離運転を頻繁にするようになった。

ある日、いつものようにドライブをして高速道路のパーキングに車を停めサービスエリアの中を歩こうとすると右脚全体が痺れるような感覚に襲われた。イスに座って5分程休むと痺れは消えたが、そのあと少し歩くだけでまた右脚に痺れが出た。座っていれば痺れは解消されたので、その日はなんとか自宅まで車を運転して帰ることができた。

翌日からも少し歩くだけで右脚の痺れは続いた。自宅から最寄り駅までは徒歩5分だが、その5分の道のりが歩けなくなっていることに気づいた。少し歩いてはベンチなどに腰かけ、右脚の痺れがひいては歩くことを繰り返していた。

せっかく仕事を引退して、これから毎日ドライブを楽しもうと思っていたが、右脚の痺れがある状態で車を運転することはとても怖く、この頃には20分程座っていると腰痛が酷くなったので、しばらく車の運転は控えることにした。

整形外科を受診してレントゲンやMRIを撮ったが腰部椎間板ヘルニアにはなっていないし、骨にも異常がなく、筋力が弱いから鍛えなさいと言われた。さっそく翌日から近所のスポーツジムに通って運動をしたが、ウエイトトレーニングのマシーンで座りながら筋力トレーニングをしていても問題ないが、ルームランナーで少し歩くだけで右脚に痺れが出てしまった。

仕事が現役だったときは時間もなかったので、たまにマッサージに行く程度だったが、最後まで自分の脚で歩きたいと思い本格的に身体のメンテナンスをしてもらえる治療院を探すことにした。

近所にある整体院に毎週3回3か月間通ってみたが、腰は少し軽くなる気がするものの、歩くとすぐに痺れが出てしまう症状は変わらなかった。次は、都内で評判の針鍼灸院があり脚の痺れによく効くという口コミがたくさん書いてあったので通ってみた。

さすがに都内に毎週3回行くのは大変だったので、週1回を6か月間通ってみたが、結局行き帰りの道中でたくさん歩かなければならず、歩けば痺れが出る症状は変わることがなかった。

それ以外にも何か良い方法はないものかと、約1年間いろいろな治療院に通ってみた。カイロプラクティックにも何件か通ってみたが、硬くて矯正できないと言われたり、そもそも骨の矯正ではなくマッサージだけで終わったり、右脚の痺れは一切変わることがなかった。

そんなとき、Youtubeで塩川満章先生という人の動画を見る機会があった。動画内では、重症患者も良くなっているというようなものがあり、最初は「どうせYoutubeだから大げさに言ってるんだろうな」と思って見ていた。何度か塩川先生の動画を見ているうちに、これまで通っていた整体院とはまったく違うなと素人目に見ても分かるもので、これなら改善するかもしれないと思うようになった。

動画内で本物カイロプラクティックと紹介されていたが、塩川先生の動画は大げさではなく本物カイロプラクティックだなと思った。塩川先生の治療院を調べてみると東京の銀座にある塩川カイロプラクティック治療室というところだと分かった。

今の少し歩くだけで出てしまう右脚の痺れの状態では、とても銀座まで何度も通えないなと思って調べてみると、藤沢駅前に塩川先生のお弟子さんが開院されていることを知った。しかも塩川カイロプラクティック治療室で副院長まで務めていたようで、この先生なら本物カイロプラクティックを引き継いでいる先生だろうと思い、当院に来院された。


【神奈川県鎌倉市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右上後腸骨棘上端の強い浮腫感

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と腰部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端と下部腰椎に強い浮腫が確認され、腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。また、通常腰部は前弯カーブ(前カーブ)がついているが、腰部の前弯カーブは消失して椎骨が積み木の様に積み重なっているような状態であった。

触診でも明らかに慢性的な状態で、椎間板の段階も最終段階のD6レベルだったことから、初期集中期の段階では週3回のケアから開始した。

3週目(7回目のアジャストメント)には、5分も歩いていないのに脚の痺れが出ていたものが20分くらいなら歩いても痺れは出なくなった。ただし30分ほど歩くと右脚に痺れが出るような症状が続いていた。

4週目(11回目のアジャストメント)には、30分以上歩いても右脚の痺れはそれほど気にならなくなった。この頃には車の運転もできるようになり、車の運転でも少し座っているだけで出ていた腰痛が明らかに緩和していた。この段階でケアのペースを週2回に伸ばすことができた。

7週目(17回目のアジャストメント)には、久しぶりに長距離ドライブに出掛けたが、往復で2時間半運転しても腰痛はあまり感じなかった。現地で少し歩いたが、いつも長時間座った後には必ず右脚に痺れが出ていたが、それもほとんど出なかった。

10週目(23回目のアジャストメント)には、旅行先で2時間以上歩いても右脚の痺れは一切出なくなっていた。移動の新幹線でも長いこと座っていたが、腰痛もほとんど気にならなくなった。この段階でケアのペースを週1回に伸ばすことができた。

現在は、どれだけ歩いても右脚の痺れは一切出なくなり腰痛もほとんど感じなくなったが、最後まで自分の足で歩きたいという本人の強い希望から、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の右脚の痺れは、右の仙腸関節の可動域制限が最大の原因であったと考えられる。短時間の座り姿勢での疼痛悪化、歩行時の痛みや痺れなどは骨盤部の問題である可能性が高い。今回のケースでは、典型的に右の仙腸関節の可動域制限から下肢へ伸びる神経に負担が掛かっていたものと考えられる。

人間には必ず補正作用があり、片側の仙腸関節に可動域制限が掛かると反対側の仙腸関節は過剰に動いてしまう。ここで重要なことは、痛みや痺れが出ている側がイコールで根本原因ではないという点である。

可動域制限が掛かっている側に痛みや痺れが出ているケースもあれば、反対側の過剰に動いている側が炎症を起こして痛みや痺れを誘発しているケースもある。また腰部の神経も下肢へと伸びているため、腰部の問題も考慮する必要がある。

その問題となっているサブラクセーション(根本原因)が、どの部位から来ているのかを探し出す検査力が最も重要となる。また、今回のケースでは椎間板の段階も考慮する必要がある。カイロプラクティックでは、椎間板の段階を6段階で評価している。

D6レベルとは最終段階を意味しており、どれだけ甘く見積もっても15年以上は腰部の椎間板に負担が掛かっていたものと考えられる。神経はものすごく繊細にできていて、神経の上に10円玉くらいの重さが乗るだけで、神経の流れは60%も減少することが分かっている。

しかし、神経の流れが60%低下しても痛みや痺れを感じない人がいる。つまり、痛みや痺れを感じている状態とは、それよりもはるか前から神経に負担が掛かっていたと考えられる。今回のケースではその典型例で、椎間板の段階がD6レベルと最終段階であったにも関わらず、本人が腰痛などの症状を自覚してから5年ほどしか経っていなかった。

歯医者さんで歯のメンテナンスが必須であるのと同じように、正統な教育を受けたカイロプラクターのカイロプラクティック院で、脊柱(背骨や骨盤)のメンテナンスを受けることがいかに大切なことか分かる。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、人間の土台である骨盤部が安定したことで右脚の痺れの改善に繋がったと考えられる。椎間板の段階を見る限り、D6レベルとは甘く見ても15年以上は経過していると考えられるためかなりの慢性的な状態であったが、どれほど慢性的であったとしても神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
下肢のしびれ、腰痛
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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