じんましん(不眠症、頭痛、末端冷え性、便秘、下痢)

じんましん(不眠症、頭痛、末端冷え性、便秘、下痢)

じんましんによる痒みが薬に頼らず解消された!

20代女性
来院に至った経緯
小学校3年生から中学2年生までは両親の仕事の都合でアメリカに留学していてカイロプラクティックの施術を定期的に受けていた。その頃は体調がすごく良く、風邪も引いたことがない子供だった。中学2年生の途中から日本に帰ってきたが、それから体調がすごく悪くなった。

一番困ったことは、日本に帰ってきて3年ほど経った高校2年生の頃からじんましんに悩まされたことだった。かゆみがかなり強く、夜中に無意識にかいてしまっているのか、寝起きに血が出ていることもあった。出る場所もそのときによって違い、太もも、お腹、お尻、膝や肘の内側、首などさまざまだった。

病院では、衣類や金属にアレルギーがあるかもしれないから調べますねと言われた。血液検査などアレルギー検査を行ったが、花粉が少し引っかかった程度で特に強いアレルギー反応はなかった。

じんましんが出る少し前から夜寝苦しいと感じるようになっていた。いつもは布団に入るとすぐに眠れていたが、1~2時間は布団の中でゴロゴロするようになった。また同じ時期から午後になると頭痛が出るようになった。

アメリカにいるときは体調を崩したことがなかったので薬は飲んだことがなかったが、午後以降は頻繁に頭が割れるような頭痛に襲われるようになったため、仕方なく薬を飲むことにした。

頭痛薬を飲んだことによる副作用なのか、単純に体調が悪いからなのか分からないが、便秘と下痢を繰り返すようになった。手足など末端が冷えるような感覚もあって、両親にカイロプラクティックを受けに行きたいと相談した。

家から近くで通えるところで評判のカイロプラクティックを両親が調べてくれて、これで体調が良くなると期待して来院した。するとアメリカで受けていたカイロプラクティックとはまったく違うもので愕然とした。

アメリカで受けていたときは、先生はレントゲンを見たり背中の温度を測ったりしていたが、両親が見つけたカイロプラクティックはマッサージとストレッチをしたあとに、何も検査せずに説明もなく急に腰や背中をボキボキされた。

怖くなって自分がアメリカで受けていたカイロプラクティックと違うけど大丈夫なのか尋ねると、日本ではこれがカイロプラクティックですと説明されて愕然とした。せっかく体調が良くなると思っていたのに、期待外れなことをされて落ち込んでいると両親がアメリカの先生にメールで問い合わせてくれた。

アメリカの先生からは日本の東京だったら塩川カイロプラクティック治療室を訪ねなさいと教えてくれた。ただ住んでいたところが東京都ではあったものの町田市だったので銀座まで通うのは遠いなと思っていた。

念のため問い合わせてみると、塩川カイロプラクティック治療室で副院長を務めていた前田先生が藤沢駅で開院していると教えてもらった。藤沢駅だったら町田から30分掛からないから通えるなと思って前田先生の院のHPを見てみた。するとアメリカの先生が使っていた検査器具と同じものを使用しているようだったので、ここなら間違いないと思い、当院に来院された。







【東京都町田市から来院】


初診の状態
  • 01

    正中仙骨稜に強い浮腫感

  • 02

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫感

  • 03

    左後頭部の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、上部頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかな左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と正中仙骨稜に強い浮腫が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階もそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

アメリカで長いことカイロプラクティックケアを受けていたが、3年以上ケアを受けておらず明らかに自律神経の症状が強く出ていたので、初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、睡眠の質が明らかに戻り、布団に入ればすぐに眠れるようになった。毎日のように午後になると出ていた頭痛も、ほとんど気にならなくなった。思っていた以上に早く安定したため、次回は2週間後でも大丈夫ですよと伝えると、本人の強い希望で週1回はケアを受けたいと申し入れがあった。

6週目(6回目のアジャストメント)には、お腹の調子も良くなり、便秘や下痢はまったくなくなった。肌のかゆみもかなり引いてきて、夜中にかきむしるということはなくなったのか、寝起きも血が出ているということは一切なくなった。

10週目(10回目のアジャストメント)には、日本に帰ってくる前と同じように快調になり、体調面での心配はまったくなくなった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のじんましんは、自律神経の乱れからヒスタミンが過剰に分泌されていたことが原因だと考えられる。

ヒスタミンは、痛みやかゆみを知覚する知覚神経に作用するため、かゆみを誘発させてしまう。その刺激によって、神経ペプチドと呼ばれる神経伝達物質を放出させるが、このとき神経ペプチドは肥満細胞を刺激し、さらにヒスタミンを分泌させかゆみを引き出してしまう。

検査では上部頸椎と仙骨部に強い反応が見られたが、上部頸椎や仙骨部はどちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰に働く状態となっていた。

ヒスタミンは顆粒球(好塩基球)などに存在している物質となるが、交感神経が優位になると顆粒球の比率が上昇する。すると顆粒球の一種で、アレルギーに関与する好塩基球の比率も上昇し、ヒスタミンの分泌を促すようになってしまう。

今回のケースでは、交感神経が過剰に働くことで、アレルギーに関与する好塩基球の比率が上昇、それによってアレルゲンの反応がさらに活性化して、さまざまな炎症性メディエーターやアレルギー物質を放出し、体内や皮膚で炎症反応を起こした結果、じんましんを発症していたと考えられる。

不眠症、午後からの頭痛、末端冷え性など、明らかに交感神経が過剰に働いている人の特徴ともいえる自律神経症状も多く出ていた。交感神経が過剰に働くことで、休まるスイッチが働かずに不眠症となっていたと考えられる。

午後から出る頭痛は緊張性の頭痛である。また末端冷え性は交感神経の作用によって末梢の血管が閉じてしまい末端冷え性となる。どちらも交感神経が過剰に働いているときの特徴となる。

便秘と下痢を繰り返していたことも、自律神経のバランスが乱れることで腸の蠕動運動が正常に働かずに便秘が続いて出ると下痢ということを繰り返していたものと考えられる。自律神経の乱れはこれだけの問題を引き起こしてしまう。

子供の頃から約6年間もカイロプラクティックケアを受けていたが、日本に帰国と同時にケアを受ける環境がなくなったことで徐々に自律神経のバランスを乱してしまったのだろう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。カイロプラクティックケアで背骨や骨盤を整えることは、定期的に歯医者さんで歯のクリーニングをすることと同じことである。

今回の症例では、患者はアメリカでカイロプラクティックケアを長年受けていたことで、以前の土台が残っていたため安定するのは早かったが、あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できた症例であった。
じんましん(不眠症、頭痛、末端冷え性、便秘、下痢)
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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