右手のしびれ、甲状腺の問題、腰痛

右手のしびれ、甲状腺の問題、腰痛

どこへ行っても改善しなかった右手のしびれが解消された!

40代女性
来院に至った経緯
仕事は20年以上デスクワークをしていて、毎日10時間近くパソコン作業が続いていた。社会人3年目に右腕全体が痺れるような感覚に襲われたが、当時住んでいた家の近くに整体院があり、そこのベテランおじいちゃん先生に診てもらい改善された。

それ以来、何年も右腕の痺れはなかったが、1年前から右腕の痺れが再発した。以前診てもらったベテランの整体師さんに診てもらおうと調べたら、すでに引退されていて閉院になっていた。首の可動域も悪くなっていて、上を向いたり首を左に倒そうとすると、明らかに以前よりも首が動かないと感じるようになっていた。

それから約1年間でさまざまな治療院を訪れた。整体院、針鍼灸院、マッサージ、温熱療法、接骨院などありとあらゆるところに行ったが、右腕の痺れはなくなることはなかった。それどころか指先まで痺れが広がり、次第に力が入りにくいと感じるようになった。

当然、整形外科も受診してレントゲンやMRIを撮って調べてもらったが、それほど異常はなくストレートネックになっていると言われただけだった。1年以上も痺れが続いているのに異常がないという言葉が怖かったので、脳神経外科で脳の精密検査も受けたがまったく異常なかった。

仕事がデスクワークだった影響か、慢性的な腰痛もあり、ぎっくり腰も3回ほど経験していた。腰痛も整形外科でレントゲンやMRIを撮ったが、ヘルニアにはなっていないし、少し椎間板が薄くなっているけど様子を見ましょうと言われただけだったが、少し歩くだけでも痛みがあるのに異常なしと言われ、どうしたらいいのか分からず不安だけが募っていった。

3年前には人間ドックで甲状腺機能低下が指摘されて、甲状腺専門医院にお世話になるようになった。チラージンという薬を処方されて服用していた。副作用に手のふるえというものがあったが、症状は「ふるえ」ではなく、明らかに「しびれ」だった。

自身の体感としても、薬の副作用ではなく、20年位前初めて右腕が痺れた時の感覚と同じだったので絶対に首の問題だと思っていた。その後も、どこに行っても右腕のしびれが改善されることはなかった。

首の矯正をしてもらえるところにも通ってみたが、バキバキ音だけ鳴らされて、むしろ右腕の痺れが酷くなったように感じて通わなくなった。パソコンのタイピング時にも支障が出るようになり、これはいよいよヤバいと思い始めた頃、Youtubeで塩川満章先生の動画を見る機会があった。

動画内では腕の痺れが出ている人も良くなったとあり、素人目に見てもこれは本物だと分かった。塩川先生の予約を取ろうと塩川カイロプラクティック治療室に問い合わせてみると、残念ながら塩川先生は新規の予約をストップしているとのことだった。

神奈川県藤沢市に住んでいることを伝えると、塩川先生の一番弟子で副院長だった前田先生が藤沢駅前で開院されていることを教えてもらった。調べてみると弟子で副院長で、なおかつスクール講師もやられている先生だと知った。

甲状腺機能低下と指摘されてからは、身体のだるさや体重増加も気になっており、全身を診てもらえるところを探していたので、これは運命だと思い当院に来院された。


【神奈川県藤沢市鵠沼から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    隆椎周辺の強い浮腫感

  • 03

    頸部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節と下部頸椎に明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と下部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端と隆椎周辺に強い浮腫が確認され、頚部から肩回りと腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや椎骨の変性が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD6レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、少し歩くだけで出ていた腰痛は、よほど歩かない限りは気にならなくなっていた。

6週目(6回目のアジャストメント)には、右腕のしびれにも変化が出てきて指先まで痺れていたものが前腕くらいに上がってきた。この頃には腰痛はまったく感じなくなった。

9週目(9回目のアジャストメント)には、前腕に感じていたしびれが次第にツッパリ感に変わってきて、二の腕に軽い痛みのような症状が出てきた。また右腕全体が筋肉痛のように感じるようになった。

12週目(12回目のアジャストメント)には、右腕にあったしびれは解消され、首から右肩にかけて重だるいような軽い痛みが出てきた。

15週目(15回目のアジャストメント)には、右腕にあったしびれやツッパリ感は解消された。首や肩にあった軽い痛みもほとんど感じなくなった。また、この頃には身体全体のだるさはそれほど感じなくなった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の右腕の痺れは、下部頸椎から右腕に伸びる神経が原因であったと考えられる。レントゲン評価では、頸椎5番6番の椎間板がかなり慢性的であった。頸椎5番は6段階の評価では最終段階のD6レベル、頸椎6番もD4レベルで、両方とも椎骨の変性(骨の変形)が確認された。

触診すると頸椎5番6番は明らかに過剰な可動性(動き過ぎ)が確認された。通常であれば椎間板が薄くなって椎骨の変性が進んでいると可動域は低下するが、このようなケースで特に外傷もなく過剰な可動性がある場合には、他の椎骨の可動域制限からの補正作用で過剰に動いていたことが考えられる。

人間には補正作用があり、どこかの椎骨の動きが悪くなれば、どこかは過剰に動いてしまう。それによって椎骨が摩耗してしまい、椎間板や椎骨の変性が進行してしまったのだろう。これは通常、日常生活を送っているだけではあまりない状態である。

交通事故のような激しい外傷、剣道や柔道、あるいはラグビーやアメフトのような首に負担の掛かる競技を長年行っていた人などが考えられるが、もう一つ考えられるケースが回旋型の矯正である。椎間板は捻じる動作に弱くできており、回旋型の矯正はこのような異常な可動性を生む原因となってしまう。

今回の患者は、交通事故や激しいスポーツは経験したことは一度もなかった。頚椎7番には明らかに可動域制限、体表温度の誤差、浮腫感が確認されたことを考えると、頸椎5番6番の変性は頸椎7番からの補正であったと考えられる。

回復過程も神経の回復過程を顕著に辿って行った。神経が損傷する過程では、「正常→痛み→痺れ→麻痺」の順番で進行していくため、その回復過程では「麻痺→痺れ→痛み→正常」の順番で回復していく。

腕の神経は首から腕に向かって伸びているが、指先という末端に感じており、しかもそれが「痛み」ではなく「痺れ」だったということを考えると、それほど慢性的だったのだろう。痺れを感じていたものが首の方へ上がっていきながらツッパリ感や痛みが出ていたことを考えても、神経の回復過程を顕著に辿って行ったと考えられる。

甲状腺の問題もあったが、下部頸椎は甲状腺と密接な関係がある。甲状腺機能低下とは、甲状腺の臓器に何か器質的な問題でもない限りは、甲状腺へと繋がる神経の圧迫により脳が甲状腺と上手く連携できていない状態だと考えられる。

腰痛の問題も、右の仙腸関節は明らかに可動域制限があり、左の仙腸関節は過剰に動いていた。少し歩くだけで痛みが出てくる腰痛は、腰の問題よりも骨盤部の問題であるケースが多くみられる。今回のケースではそれが顕著に出ており、補正作用で過剰に動いている方が炎症を起こし、痛みを誘発していたと考えられる。

どのような症状であったとしても、問題の原因を引き起こしている根本原因を特定する検査が何よりも重要となる。今回のケースのように痺れが出ている状態で、なおかつ椎間板や椎骨の変性が激しいときのアジャストメントは、特に慎重に評価をしなければならない。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、神経機能が回復したことで右腕のしびれや腰痛の改善に繋がったと考えられる。あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
右手のしびれ、甲状腺の問題、腰痛
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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