圧迫骨折後の腰痛

圧迫骨折後の腰痛

圧迫骨折後、1年間続いた腰痛がなくなった!

30代男性
来院に至った経緯
小学校から高校と9年間サッカーをやってきたが、大きな怪我をした記憶はなかった。社会人になって接客業をするようになり、軽い腰痛を感じ始めたためスポーツジムに入会して週3~4回は運動をするようになった。

運動をするようになってからは仕事中の軽い腰痛はまったく感じなくなったが、12月、1月と年末年始の繁忙期で多忙な日を過ごし、体が疲れ切っていた。寝不足だったこともあるが、2月初旬の仕事終わりに階段から12~13段滑り落ちてしまった。前日に降った雪で滑ったのだと思うが、あまりの衝撃で記憶が定かではなく気づいたら病院のベッドの上にいた。

整形外科では腰部捻挫、左足首距骨の骨折、そして第2腰椎圧迫骨折と診断された。この事故後、身長が1.8㎝も縮んでしまった。整形外科の先生にレントゲンで説明してもらったが、素人目に見ても腰の2番目は骨が潰れているのが分かった。

それから週1回、整形外科のリハビリ施設で理学療法士の先生のところでリハビリをしているが、腰痛がまったく治らなかった。元々あった軽い腰痛が酷くなったのか、第2腰椎の圧迫骨折の影響なのか自分では分からなかったが、整形外科の先生からは経過は順調だと言われた。

結局、事故後1年経っても腰痛が治ることはなく、理学療法士の先生にもリハビリはもう来なくて大丈夫だと言われてしまった。この頃には腰の痛みは感じる範囲も広がっていて、背中の下の方から両側のお尻まで痛みがあった。

また背中からお尻に掛けて全体的な痛み以外にも、右脚すねの張り感、骨折した左足首の痛みが取れず、右腰には常に重さと鈍い痛みがあった。これまで怪我という怪我をしたことがなかったため、病院以外ではどのようなところに行けば改善できるのかまったく分からずに悩んでいた。

腰の痛みはどんどん悪化していった。特に寝起きの腰痛が酷くなり、寝起きは腰の筋肉がガチガチに固まっているように動かず、毎朝湯船につかって体を温めてから出社していた。仕事中はもちろん、仕事が終わった後は寝起きのように腰がガチガチに固まるようになり、休みの日に長時間座っていると腰痛を強く感じるようになった。

そんなとき会社の上司から、Youtubeで塩川満章先生というすごい人がいると教えてもらった。調べてみると場所が銀座だったため、さすがに神奈川の寒川から東京の銀座までは何度も通えないなと思った。

それでも一度は受けてみたいなと思い、銀座の塩川カイロプラクティック治療室に問い合わせてみると、藤沢駅前に塩川先生のお弟子さんが開院していることを教えてもらった。藤沢駅なら通える距離だなと思い、当院に来院されることになった。


【神奈川県高座郡寒川町から来院】
初診の状態
  • 01

    第2腰椎の浮腫感と炎症

  • 02

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 03

    腰部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と第5腰椎、そして第2腰椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端と第5腰椎、そして第2腰椎に強い浮腫が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。また第2腰椎には整形外科での診断通り圧迫骨折が確認された。首の椎間板の段階は特に慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、寝起きや仕事後に腰がガチガチに固まってしまうということが減ってきた。

7週目(7回目のアジャストメント)には、背中の下の方に感じていた痛みはほとんど感じなくなった。左足首の痛みも感じなくなり、右すねの張り感もなくなった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

15週目(11回目のアジャストメント)には、両方のお尻の痛みもすっかりなくなり、右腰に感じていた鈍い痛みもまったく感じなくなった。スポーツジムでの運動も再開できた。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の圧迫骨折は、階段での転倒という外傷が原因であるが、事故後1年間も続いた腰痛に関しては骨盤部の乱れから腰部の配列が乱れていたことが原因であったと考えられる。

腰部椎間板の段階を見ると、少なくとも10年以上は腰部に負担が掛かっていたと考えられる。それが階段での転倒という明確な外傷からの圧迫骨折が引き金となり今回の腰痛を引き起こしていたのだろう。

検査では、右の仙腸関節、第5腰椎、そして圧迫骨折している第2腰椎に強い温度の誤差と浮腫感が顕著に確認された。鈍い痛みは副交感神経支配の部位に確認されることが多く、右の仙腸関節からの影響が強いと考えられる。

寝起きの腰痛や長時間座っているときの腰痛は第5腰椎からの神経が関係している。寝ている間に重力から解放された椎間板が膨張して寝起きの腰痛となるケースや、長時間座っている状態で椎間板の内圧が高まり腰痛を発症するケースが多くみられる。

また圧迫骨折をしていた第2腰椎は明らかに炎症をしていた。炎症と聞くと日本人は悪いイメージを持つ人が多いが、炎症自体は悪いものではない。損傷した患部の代謝を高めて治癒しようとしている状態であり、自然治癒力が働いている証拠である。

ただし、事故後その炎症が1年間も続いているということは、長期間に渡って負担が掛かり続けているということを意味している。今回のケースでは、圧迫骨折を起こした部位に対して正しい処置を第2腰椎の椎骨が後方へ飛び出そうとしていたことによる炎症だと考えられる。

通常、圧迫骨折は椎体の前方部が潰れることが多いが、今回のケースでも顕著に椎体の前方部が潰れていた。それによって椎体自体が後方へ飛び出そうという力が働き続け、神経に負担が掛かり続けた結果、炎症が続いていたものと考えられる。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)を取り除いたことで、神経の流れが整い自然治癒力が働く状態となった結果、圧迫骨折による負担が軽減され腰痛が改善したと考えられる。

たとえ外傷による圧迫骨折であったとしても、検査によって問題の神経系を特定し、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
圧迫骨折後の腰痛
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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