多汗症(発汗異常、不眠症、生理痛、生理不順、PMS、末端冷え性、両手の痺れ)

多汗症(発汗異常、不眠症、生理痛、生理不順、PMS、末端冷え性、両手の痺れ)

外出時に人と会うと噴き出していた汗が止まった!

30代女性
来院に至った経緯
3年くらい前から人と外で会うと、異常に汗をかくようになった。仕事は料理教室の講師をしているので、人前で話したりすることが苦手なわけではなく、仕事中はまったく汗をかくなどはなかった。

休みの日に外出時に人と会う時だけ、多汗症のような発汗異常を起こしてしまった。病院へ行くと、「多汗症の症状ではありますが、最近眠れていますか?」と聞かれた。そう考えると汗をかくようになる少し前から睡眠の質が悪く、ほとんどの日で寝入りが悪く布団に入ってもなかなか寝付けずにスマホで動画を見ながら寝落ちするのを待つという日常を繰り返していた。

同時期から右耳から耳鳴りがすることが多くなった。いつも突発的でキーンという高い金属音のような音が聞こえてくるようになった。また汗をかくようになってから、手足など末端が異常に冷えるようになった。料理教室中に一度手を洗うと、キンキンに冷え切ってしまい、なかなか手が温まらないと感じていた。

中学生の頃から婦人科系の症状が強く、生理痛、生理不順、PMS(月経前症候群)に苦しんできた。生理前になると、いつもはまったくない腰痛を感じたり、イライラしたり、気分が落ち込んだりしていた。

生理が始まると重い下腹部痛を感じていた。生理不順は1週間早く来たり、1週間遅く来たりと毎回来るタイミングがバラバラで、生理が始まった当初から周期が安定したことはなかった。病院でもらう薬を飲むと、副作用なのか日中ボーっとしてしまうことがあり、仕事に支障をきたしてしまうため飲むことをやめた。

このまま何もしないで症状が酷くなっていくのが嫌で、自律神経専門の整体院に通ってみた。半年間週1回のペースで通ったが何も変わらなかった。針鍼灸院では、お身体が過敏の状態なので2週間に一度で大丈夫ですと言われたが、結局症状は何も変わらなかった。

次第に寝起きに両手が痺れるようになってしまった。痺れているのは寝起きの10数分だけだったが、痺れはさすがに怖かったので病院で精密検査を受けたが脳や心臓には何も問題は見つからなかった。病院の先生からは、自律神経の問題なので規則正しい生活を送るように言われた。多汗症や不眠症の症状が出ていることを伝えると、それなら睡眠薬を処方しますと言われたが、薬には頼りたくなかったので結局飲まなかった。

そんなとき、料理教室のオーナーさんがここの先生は自律神経に強そうだよとYoutubeで塩川満章先生という人の動画を紹介してくれた。たしかに動画では色んな症状の人が治ったとなっていたが、カイロプラクティックで自律神経が治るのか疑問だった。

調べてみると塩川先生の治療院は銀座だったので、疑問なまま通える距離ではないと諦めようとしたが、料理教室のオーナーさんが塩川先生のお弟子さんが藤沢駅前でやっているみたいだよと教えてくれた。藤沢駅なら隣駅だし通える距離だなと思い、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市辻堂から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    右仙骨翼の強い浮腫感

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右仙骨翼に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階もそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、寝起きの両手の痺れは出なくなった。

8週目(8回目のアジャストメント)には、末端冷え性があまり気にならなくなった。特に両手はポカポカ温かいなと感じるようになり、料理教室中に手を洗ってもすぐに血流が戻ってくるのが分かるようになった。生理前になると感じていた腰痛はまったく感じなくなった。また生理痛がいつもより楽だなと感じるようになった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げられる状態となっていたが、本人の強い希望で1週間に一度のケアを継続することにした。

13週目(13回目のアジャストメント)には、外で人と会ってもそれほど汗が気にならなくなった。睡眠の質もかなり改善されて、布団に入ればすぐに眠れるようになった。生理痛はまったく感じなくなり、人生で初めて生理周期も安定していると感じるようになった。また生理前に感じていたPMS(月経前症候群)によるイライラや気分の落ち込みはほとんど気にならなくなった。

18週目(18回目のアジャストメント)には、外で人と会っても多汗症はまったく気にならなくなった。睡眠の質もすこぶる良好で、寝起きがスッキリしていると感じるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の多汗症による発汗異常は、自律神経の乱れが最大の原因であったと考えられる。検査では骨盤部と上部頸椎に強い反応があったが、どちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰に働いてしまい、自律神経のバランスを乱してしまったのだろう。

自律神経とは外部や内部の環境の変化に適応する能力である。人間は、暑くなると汗腺を広げて汗として体内の温度を逃がし、寒くなると汗腺を閉じて鳥肌が立ち体内の温度が逃げないように体温を常に調整している。

この作用はホメオスタシス(恒常性の維持)といい、常に体温を一定に保つ作用になる。交感神経が過剰に働いている状態とは、体が常にストレスにさらされているような状態となる。外で人と会うという特定の条件下で発汗異常を起こしてしまう状態とは、交感神経が過剰な状態の身体では人に会うという行為だけでも強いストレスとなり、血管の拡張/収縮や、汗腺の作用に支障をきたしてしまったのだと考えられる。

不眠症も交感神経が過剰になって休まる神経が働かずに発症していたものと考えられるが、末端冷え性も交感神経が過剰になっている人の特徴となる。交感神経の作用として末梢の血管を閉じる役割があるが、その状態が長く続くことで末端まで血流が巡らずに末端冷え性を発症してしまったのだろう。

寝起きだけ両手が痺れるというのも、末端冷え性の延長であったと考えられる。検査では上部頸椎に強い反応があったが、両側の症状は上部頸椎と密接な関係がある。寝起きの10数分だけ痺れている状態とは、例えるなら長時間の正座のあとのような痺れと似ている。睡眠中に血流異常が生じてしまい、起きてから活動することで徐々に血流が巡っていくような状態であったと考えられる。

生理痛、生理不順、PMS(月経前症候群)などの婦人科系の問題は、脳と卵巣の神経の繋がりに異常があったことが原因だと考えられる。女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが上手く分泌されていないと、プロスタグランジンという物質が過剰に分泌されてしまう。

プロスタグランジンの作用として、不要になった子宮内膜や経血を体外へ排出させる働きがあるが、このとき子宮に過剰な収縮を起こしてしまうため、強い生理痛を発症してしまう。また女性ホルモンの分泌異常をきたしていると、PMS(月経前症候群)のようなイライラや気分の落ち込みを起こしてしまう。

人間の精神面はホルモンバランスに作用されている。卵巣に限らず、副腎や甲状腺など各ホルモン分泌器官は、神経を介して脳と常に情報のやり取りを行っている。自律神経の乱れは脳と各ホルモン泌器官との情報伝達を乱してしまい、さまざまな不調を引き起こしてしまう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、多汗症による発汗異常だけではなく、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
多汗症(発汗異常、不眠症、生理痛、生理不順、PMS、末端冷え性、両手の痺れ)
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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