パニック障害(頻脈性不整脈、動悸、息切れ、めまい、腰痛)

パニック障害(頻脈性不整脈、動悸、息切れ、めまい、腰痛)

パニック障害による動悸や息切れが出なくなった!

30代女性
来院に至った経緯
大学生の頃から腰痛があったため、整体院やマッサージに行くことが好きで、自分で調べては口コミが良さそうなところに通っていた。腰痛は歩けないというようなものではなく、なんか腰が疲れたな、張ってくるなという程度だったため、体を軽くほぐしてもらう程度のメンテナンスで十分対応できていた。

仕事は宝石店で勤務しているが、6年前お店の営業後に片づけをしていたところ、強盗に遭ってしまった。目出し帽をかぶった2人組にナイフを突きつけられ、とても怖い思いをした。幸いなことに体を傷つけられるというようなことはなかったが、その事件以降、お店の営業が終わると動悸や息切れがするようになった。

病院で心臓などの精密検査を受けたが異常なしだと言われ、あまりの恐怖による一時的なトラウマによるものだから時間の経過と共に良くなっていきますよと言われた。それから約6年の月日が流れたが、症状はまったく治まることはなく、電車に乗るだけで心臓がバクバクして息が上がってしまうようになった。

心療内科ではパニック障害の一種だと診断され、抗うつ薬や抗不安薬など一通り薬を処方された。薬を飲んでも飲まなくても症状は変わることはなく、普通に電車に乗れる日もあれば、まったく乗れずに仕事に遅刻してしまう日も出てきた。

何か良い方法はないかなと評判の針鍼灸院を訪れてみたが、針治療は合わなかったのか施術が終わるとめまいがするようになってしまった。帰りの電車でも心臓の鼓動がすごく速く感じ、めまいの影響なのか吐き気がしてきた。

体感的に今までの動悸の感じとも違ったので、再度病院へ行くと今度は頻脈性不整脈だと診断された。何かやりましたか?と聞かれ、針治療を受けたことを伝えると、ちゃんと薬を飲んで安静にしてくださいと言われた。

自分としては薬を飲むよりは良いと思って受けてみたが、確かに体調が悪くなったし、病院の先生に言われてはその場では従うしかなかったが、何年も薬を飲んでまったく改善しないことに嫌気がさしていた。

何か良い方法はないかなと探していると、宝石店の店長がこの先生凄そうだよとYoutubeで塩川満章先生という人の動画を見せてくれた。カイロプラクティックは受けたことがなかったが、少しでも今の状況から改善できるならと銀座の塩川カイロプラクティック治療室に問い合わせてみた。

残念ながら塩川先生の新規のご予約はストップしていると言われてしまったが、神奈川県でしたら副院長の前田先生が藤沢駅前で開院されていますよと教えてもらった。藤沢駅なら銀座まで行くよりもかなり近いし、長時間電車に乗る必要もなかったので、当院に来院されることになった。


【神奈川県大和市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左後頭部の強い浮腫感

  • 03

    頸部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と右上後腸骨棘上端と内縁に強い浮腫が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、カイロプラクティックケアを受けてからは、めまいはまったく出なくなった。また大学生の頃からあった慢性的な腰痛も、ほとんど気にならなくなった。

7週目(7回目のアジャストメント)には、そういえば最近電車に乗っても動悸が息切れがしないなと感じるようになったが、仕事が忙しくなった日の営業後は、心臓の鼓動が速いと感じていた。

12週目(12回目のアジャストメント)には、動悸や息切れはまったくしなくなり、心臓の鼓動も安定しているように感じ、病院で検査をすると頻脈性不整脈も安定していた。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

18週目(15回目のアジャストメント)には、仕事がどれだけ忙しくても動悸や息切れを起こすことはなくなった。電車に一人で乗っても、まったく問題なくなり、以前のように仕事も精力的に取り組めるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のパニック障害は、自律神経の乱れが最大の原因であったと考えられる。

検査では骨盤部と上部頸椎に反応が強く見られたが、どちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰に働いてしまい、徐々に自律神経のバランスを乱していったのだろう。

最初のきっかけは強盗による強い恐怖感が要因となったのだろうが、サブラクセーション(根本原因)が起こる原因は主に3つあるといわれている。一つは、外傷的なストレス。もう一つは精神的なストレス。最後は毎日の食生活による化学物質のバランス乱れによる毒素の蓄積が考えられる。

骨盤部と上部頸椎という副交感神経部位に負担が掛かっている状態で、強盗というトラウマにもなりかねない強いストレスが加わったことで、さらに交感神経が過剰に働いてしまい今回のパニック障害を引き起こしていたと考えられる。

自律神経の乱れによって、ホルモンバランス異常も引き起こしていた可能性もある。人間の精神を安定させるセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、自律神経によってコントロールされている。

別名、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは、その総量の90%以上が腸から分泌されている。脳からはたった2%しか分泌されていないが、この2%が人間の精神面に大きな影響を与えているともいわれている。近年では脳腸相関という言葉をよく耳にするようになったが、脳と腸の情報のやり取りを行っているのも神経である。

セロトニンが不足すると、平常心を保つことが難しくなり、「イライラ」、「不安感」、「睡眠障害」などを引き起こしてしまう。逆にノルアドレナリンの分泌量が過剰になるとめまい、動悸、息切れなどの症状を引き起こす。神経伝達物質の分泌はこれだけの症状を引き起こしてしまう。

また頻脈性不整脈、動悸、めまいなどは、左迷走神経も要因の一つだったと考えられる。検査では第一頸椎の反応が顕著にあったが、心臓などに器質的な異常が無い場合の不整脈や動悸は、左迷走神経が原因になっていることが多くみられる。

長年患っていた腰痛は、骨盤部の乱れから腰部の配列を乱し、腰や骨盤の神経に大きな負担を掛けていたと考えられる。特に仙腸関節の問題は、腰部の椎間板を損傷してしまう要因となるケースが多くみられる。骨盤部の左右にある仙腸関節の安定性によって、腰部の神経への負荷がなくなった結果、腰痛の改善に繋がったのだろう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。どのような症状であったとしても、検査によって問題の神経系を特定し、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
パニック障害(頻脈性不整脈、動悸、息切れ、めまい、腰痛)
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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