下痢(頻脈性不整脈、動悸、副鼻腔炎、腰痛、右脚の痺れ)

下痢(頻脈性不整脈、動悸、副鼻腔炎、腰痛、右脚の痺れ)

慢性的な下痢症状がすっかり安定した!

40代男性
来院に至った経緯
40代になってから約8年間、慢性的に下痢が続いている。元々、軟便ではあったが子供の頃は改善で、排便で困った記憶はまったくなかった。特にコロナ以降在宅ワークになってからは下痢症状が酷くなった。

お腹が痛むわけではないが、トイレの頻度が明らかに多く、水っぽい下痢が続いていた。座りすぎで便秘になるということは聞いたことがあったが、在宅ワークになり出社するよりもはるかに座っている時間が長いのに、なぜ下痢になるのか分からなかったので消化器内科に行って相談することにした。

消化器内科の先生からは、下痢止めの薬もあるが下痢の場合は薬で無理に止めてしまうと体に毒素が蓄積してしまう可能性もあるのでそのまま出し続けた方がいいと言われた。確かにそれは分かるが、もう8年間、在宅ワークになってからの3年間はさらに酷い下痢になっていると伝えても、もう少し様子を見ましょうと言われるだけだった。

1年くらい前からは定期的に動悸がするようになった。心臓の脈拍がうるさいというか強い感じがして、心臓血管外科で精密検査を受けると心臓などには異常はないが、頻脈性の不整脈があると言われた。また、ほぼ同時期頃から鼻詰まりが酷くなり、耳鼻科を受診すると副鼻腔炎だと言われた。

在宅ワークになってから明らかに体調が悪くなったことに恐怖を覚えるようになった。特に下痢は、今は在宅ワークなので自由にトイレも行ける環境だが、出社するようになってお客様と対面でミーティングなどするときに頻繁にトイレなど行けない、早く直さなきゃと焦っていた。

病院で薬は飲まない方がいいと言われて、それ自体には同意だが、なんとかしなければと自分で調べて評判の整体院や針鍼灸院に通ってみたが、何も変わらなかった。それどころか在宅ワークで動かなくなった影響か、腰痛も感じだして右脚に痺れが出るようになってしまった。

そんなときYoutubeで塩川満章先生の動画を見る機会があった。塩川先生のクリニックは東京の銀座だったが、ちょうど在宅ワークで自由に移動できるから問題ないかと問い合わせてみると、塩川先生の新規の予約はストップしていると言われてしまった。

もしかしたら治るかもと期待していただけにガッカリしたが、塩川カイロプラクティック治療室の副院長だった前田先生が藤沢駅前で開業されていることを教えてもらった。自宅からほど近い藤沢駅前に、塩川先生のお弟子さんがいるとはなんて幸運なのかと思い、当院に来院された。


【神奈川県藤沢市湘南台から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左後頭部の強い浮腫感

  • 03

    頸部全体の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と右上後腸骨棘上端に強い浮腫が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階も慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

かなり慢性的な状態だったため、初期集中期の段階では週2回のケアから開始した。

2週目(4回目のアジャストメント)には、腰痛はあまり感じなくなり、右脚の痺れはまったく出なくなった。

3週目(6回目のアジャストメント)には、腰痛はまったく感じなくなった。またカイロプラクティックケアを受け始めてからは、動悸はまったく出なくなった。病院でも頻脈性の不整脈は安定していると言われた。この段階でケアのペースを週1回に広げることができた。

6週目(9回目のアジャストメント)には、トイレに行く頻度が明らかに減ってきた。まだ軟便というよりは下痢症状は続いていた。

12週目(15回目のアジャストメント)には、下痢症状もすっかり落ち着いた。軟便なのは変わらないが、水のような下痢症状はまったく出なくなった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の慢性的な下痢は、自律神経の乱れによって腸の蠕動運動に異常を起こしていたことが原因であったと考えられる。

検査では上部頸椎と骨盤部に強い反応があったが、どちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経サブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰に働いた結果、自律神経のバランスを乱していたのだろう。

通常、腸の蠕動運動は副交感神経が優位なときに活発となる。しかし、今回の下痢のように無痛での下痢などは交感神経が過剰に働くことで人間の排泄機能も過剰となっていた可能性が高い。また検査で反応が強かった上部頸椎の変位によって左の迷走神経の圧迫も考えられる。

頻脈性不整脈や動悸の問題に対して、心臓に器質的な問題が無い場合、左の迷走神経の圧迫が関与しているケースがある。左迷走神経は腸とも密接な関係があり、上部頸椎の変位によっての迷走神経の問題も今回の慢性的な下痢に関係していたと考えられる。

副鼻腔炎の問題もあったが、自律神経のバランスが乱れると体内の白血球の比率も乱れてしまう。副交感神経が優位になると、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞、B細胞、NK細胞などのリンパ球の比率が上昇する。

逆に交感神経が優位になると、好酸球、好中球、好塩基球などの顆粒球の比率が上昇してしまう。リンパ球や顆粒球の比率は、免疫力に直接的に関係している。自律神経のバランスの乱れは、リンパ球や顆粒球の比率をも乱してしまい、副鼻腔炎のようなウイルス、最近、アレルギーなどの症状を発症しやすくなってしまう。

在宅ワーク以降、腰痛や右脚の痺れも出ていたが、歩行する頻度が激減したことで骨盤の制限が腰部の配列を乱し、腰部や骨盤部から出る神経に大きな負荷を掛けていたものと考えられる。特に痺れに関しては痛みよりも一つ進行している神経症状であり、骨盤部の乱れは日常的に腰部の神経に負荷をかけていたのだろう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。

どのような症状であったとしても神経の流れを整えて、体の情報を脳へ届けてあげさえすれば、脳は必ず体に起きている問題を解消するチカラを持っている。改めて、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
下痢(頻脈性不整脈、動悸、副鼻腔炎、腰痛、右脚の痺れ)
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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