不眠症(頭痛、眼精疲労、末端冷え性、首の可動域低下)

不眠症(頭痛、眼精疲労、末端冷え性、首の可動域低下)

睡眠導入剤に頼らなくても眠れるようになった!

30代男性
来院に至った経緯
子供の頃から空手をやっていて、自分でも活発な子供だったなと思っていたが、社会人になり市役所勤めでパソコン作業ばかりになった頃から体調が悪いなと思うようになった。

最初は目の疲れたなと感じる程度だったが、十分な睡眠を取っても翌朝目の周りがボヤっとしていて、まったく回復していないと感じるようになった。次第に午後になると頭痛を頻繁に感じるようになった。仕事にも支障をきたしてしまうようになり、頭痛薬が手放せなくなった。

社会人になって5~6年経った時から、手足がやたら冷えるなと感じるようになった。最初は一年中エアコンの効いている室内で仕事をしている影響かと思っていたが、お風呂上りでも少し時間が経つと手足が冷たいと感じるようになった。

学生時代のイメージでは、公務員になれば毎日定時に上がれると思っていたが、実際にはまったくそんなことはなく、毎日3時間以上の残業は当たり前だった。4年前に部署移動になってから、さらに残業が多くなり終電間際まで仕事をするようになった。

それから頭痛や末端冷え性が酷くなったような気がして、週末くらいは体を動かさないとダメだと思い、子供の頃からやっていた空手を再開することにした。頭痛や末端冷え性が治ることはなかったが、やはり体を動かすと精神的に晴れやかになった。

ある日、稽古中に相手の上段蹴りが顔面に当たってしまった。翌朝、顔が腫れあがったが子供の頃から慣れっこだったので特にそれ自体は気にしていなかった。困ったことは右後ろが向けなくなってしまったことだった。その状態が1週間経っても続いたため、整形外科でレントゲンやMRI検査をしてもらったが、病院ではストレートネックになっていること以外は骨にも椎間板にも特に異常なしという診断だった。

学生時代も同じような形で打撃を食らったときに首が動かなくなったことがあったので、異常がないなら時間が経てば治るかなと思っていたが、病院を受診した翌日からなぜか眠れなくなってしまった。

布団に入っても2~3時間眠れないことが続き、仕事では終電間際まで帰れず、帰ってもすぐに眠れないため生活リズムがめちゃくちゃになってしまった。病院へ行くと不眠症と診断されて睡眠導入剤を処方された。

これまで睡眠で困ったことなど一度もなく、空手の外傷など一度や二度ではなく、仕事が忙しすぎたことが原因なのか、それとも体に何かが起こっているのか不安になり、余計に眠れなくなってしまった。

首が回らない問題は2か月経っても治ることはなかったため、自分で調べて近所で評判が良さそうだった整体院や接骨院に通ってみた。施術をしてもらうと2日間くらいは首が少し動くような気がして、睡眠の質も少しは良くなったように感じたが、3日後には元に戻ってまた眠れなくなってしまった。

そんなときYoutubeで塩川満章先生の動画を見る機会があり、調べてみると塩川先生のお弟子さんがすぐ近くで開院されていることを知った。カイロプラクティックは初めてだったが、院長の前田先生は塩川先生のお弟子さんというだけではなく、塩川先生のクリニックである塩川カイロプラクティック治療室で副院長も務めていた先生だと知って、この先生なら大丈夫だと直感が働き当院に来院された。


【神奈川県藤沢市湘南台から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    左仙骨翼の強い浮腫感

  • 03

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左仙骨翼に強い浮腫が確認され、左後頭部と頸部胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階もそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネック(を通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、右後ろを向けなかった首の可動域はかなり改善された。また頭痛の頻度が明らかに減ったと感じるようになった。

5週目(5回目のアジャストメント)には、首の可動域はすっかり元に戻った。また睡眠の質が少し良くなったのか布団に入って2~3時間眠れなかったものが睡眠導入剤を飲めば30分から1時間くらいで眠れるようになった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができたが、本人の強い希望により、週1回のケアを継続した。

8週目(8回目のアジャストメント)には、末端冷え性がそれほど気にならなくなってきた。仕事中にエアコンが効いている室内では冷えてしまうが、空手やお風呂のあとには手足がポカポカしていると感じるようになった。この頃には頭痛はまったく感じなくなり、頭痛薬は一切使わなくなった。

14週目(14回目のアジャストメント)には、睡眠の質が劇的に良くなり、睡眠導入剤を飲まなくても布団に入ればすぐに眠れるようになった。また、睡眠の質が良くなった影響か、一晩眠ると眼精疲労が回復していると感じるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の不眠症は、自律神経の乱れが最大の原因であったと考えられる。自律神経には交感神経と副交感神経がある。交感神経は日中活動するときに働く神経で、副交感神経は夜間休まるときに働く神経になる。

検査では上部頸椎と骨盤部に強い反応がみられたが、どちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰に働いてしまい、不眠症を発症していたと考えられる。

午後になると頻発していた頭痛は緊張性の頭痛であり、交感神経が過剰に働いている人の特徴でもある。仕事中に、長時間のパソコン作業で目からブルーライトによる刺激を受けると、交感神経が刺激され続ける。元々、上部頸椎にサブラクセーション(根本原因)がある状態で目への血流異常が起こっているところに、長時間のパソコン作業による目の酷使はさらなる血流異常や神経への負荷となっていたと考えられる。

末端冷え性も発症していたが、これも交感神経が過剰に働いている人の特徴となる。交感神経の作用として、末梢の血管を閉じる役割がある。これ自体はごく普通の現象だが、その状態が長期間続くことによって、末端に血液が流れなくなってしまい、末端冷え性を発症していたと考えられる。

首の極端な可動域制限もあったが、人間の首は回旋運動をするときに、特に重要となるのが第一頸椎である。頚椎2番を軸椎といい、頸椎1番を環椎という。頸椎2番である軸椎は歯突起と呼ばれる突起があり、その突起に頸椎1番である環椎という輪っかが被さっている状態となっている。

この環椎が軸椎を支点にしてクルクルと回ることで、椎骨動脈など重要な血管や神経を傷つけずに首を回旋させることができる。上部頸椎という部位は、脳幹に最も近い部位となるため最も重要な部位の一つとなるが、そこにサブラクセーション(根本原因)があることで可動域を低下させてでも大切な神経や血管を保護しようとしていたのだろう。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。単純な首の可動域低下だけではなく、さまざまな自律神経症状が出てしまっていたが、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
不眠症(頭痛、眼精疲労、末端冷え性、首の可動域低下)
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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