繰り返す大腿部の肉離れの原因は骨盤のバランス?トレーニング中の怪我を防ぐ鍵とは

繰り返す大腿部の肉離れの原因は骨盤のバランス?トレーニング中の怪我を防ぐ鍵とは

レッグプレスで発症した大腿部の肉離れが改善!神経と骨格のバランスを整える重要性

30代男性
来院に至った経緯
ジムでレッグプレスを使用中、右脚の付け根に鋭い痛みを感じた。その瞬間は一時的なものだろうと考えたが痛みは時間が経つにつれて増し、歩行も困難になるほどの強い痛みが続いた。立ち上がる際や体重をかけるたびに痛みが走り、日常生活にも大きな支障をきたすようになった。

もともと運動が好きで、学生時代からスポーツに親しんできた。高校生まではサッカーを続け、定期的な運動習慣があったが同時に勉強のために長時間座ることも多く、身体に負担がかかっていたことを自覚していた。

社会人になってからはデスクワークが中心となり、座っている時間がさらに増えたものの健康維持のためにトレーニングは継続。最近では筋力強化を目的としてトレーニングの強度を上げており、特にスクワットやレッグプレスなどの下半身の強化に力を入れていた。しかし、その影響か身体への疲労を感じやすくなり、特に股関節周辺に違和感を覚えることが増えていた。これまではストレッチや軽いケアで対処していたが、今回はこれまでとは異なる強い痛みが出たことで不安を感じるようになった。

腰の痛みは特に感じていなかったものの慢性的に疲労感が抜けにくい状態が続いていた。特にデスクワーク中心の生活では長時間座り続けることで股関節周辺の筋肉が硬くなり、可動域が狭くなっていた可能性がある。さらに、仕事の都合で移動する機会も多く、立ったり座ったりを繰り返す動作が股関節への負担を増していたと考えられる。

また、最近のトレーニングでは強度を上げることを意識していたため、股関節にかかる負荷が増していた可能性もある。疲労の蓄積やフォームの乱れが痛みの原因となったのではないかと考え、これを機に根本的に身体を見直したいという思いが強まった。

今回の股関節の痛みが過去の運動歴、現在の生活習慣、そして最近のトレーニング強度の変化とどのように関連しているのかを知り、根本的に改善したいと考えた。これまでのように自己流のストレッチや休養だけでは不十分かもしれないと感じ、インターネットで検索していく中でカイロプラクティックの存在を知った。

筋肉や関節のバランスを整え、神経の働きを正常化することで、痛みの根本原因を取り除くアプローチに魅力を感じた。特に、長年の運動習慣による蓄積疲労や、デスクワークによる姿勢の影響を考慮し、これからも健康的にトレーニングを続け、パフォーマンス向上を目指すために今回の来院を決意した。


【神奈川県横浜市西区から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限、腰部脊柱起立筋の筋緊張

  • 02

    仙骨全体に広がる浮腫感

  • 03

    左上部頚椎部位での強い浮腫感

経過と内容
初診時の状態では、上部頚椎と骨盤には明らかな可動域制限と強い浮腫感、体表温度検査では明らかに左右の温度の誤差が確認された。

腰部レントゲン側面像では、L5がD4レベルと慢性的な段階で確認。
頸部レントゲン側面像では、D4レベルで前弯カーブは減少し、ストレートネックとなっていた。
初期集中期の段階では2週回のケアから開始した。

2週目(3回目のアジャストメント)には、初回来院されたときには痛みで右脚を支えながら歩行されていたが、歩行はスムーズになり寝ていて痛みで起きなくなったと話されていた。

5週目(8回目のアジャストメント)には、右脚は日常生活では痛みはほぼ消失し、し、痛みがない範囲で下肢のトレーニングを再開した。

16週目(20回目のアジャストメント)には、歩行時に歩幅が広がったように感じると話されていた。

18週目(24回目のアジャストメント)には、ランニングや自転車、トレーニングはレッグプレス以外のトレーニングは痛みなくできている。仕事中の腰部の疲労感は仕事が忙しいと辛くなるが以前より頻度が減ってきている。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
右大腿部の肉離れが発生した原因は、骨盤のバランスの乱れが関与していると考えられる。

大腿部の肉離れは、筋肉の過剰な収縮や外部からの衝撃によって筋線維が損傷することで起こる。特に骨盤の位置や神経の働きがこの損傷に影響を与え、痛みの増大や回復の遅れにつながることがある。

肉離れの主な原因は、筋肉への過度な負荷や急激な動作であるが、左右の骨盤のバランスが崩れることで筋肉にかかるストレスが均一でなくなり、一部の部位に負担が集中しやすくなる。この結果、筋肉の損傷リスクが高まる。また血流の低下や筋肉の緊張によって、回復が遅れる要因にもなる。

損傷した部位では炎症反応が起こり、プロスタグランジンと呼ばれる物質が分泌さる。このプロスタグランジンは血管を拡張させると同時に痛みを増幅する働きがあり、損傷した筋肉の周囲に腫れや痛みを引き起こす。さらに神経が過敏になることでより強い痛みを感じるケースもある。

自律神経には交感神経と副交感神経があり筋肉の修復に関与している。交感神経が優位な状態が続くと血管が収縮し血流が低下するため、筋肉が硬直しやすくなり回復が遅れる可能性も考えられる。またストレスや痛みによって交感神経が過剰に働くと、コルチゾールの分泌が増加し血行不良がさらに悪化することが考えられる。

骨盤のバランスが乱れることで一部の筋肉に負担がかかるだけでなく神経の伝達にも影響を与えるため、肉離れのリスクが高まりやすくなると考えられる。神経の流れがスムーズになり自律神経のバランスが整うことで、血流改善や筋肉の柔軟性向上も期待でる。

アジャストメントによって、サブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、大腿部の肉離れの回復が促進されたと考えられる。

長年、運動を続ける中で繰り返し発生していた肉離れに悩んでいたが、神経の流れを整え、回復力を高めることの重要性が確認できる症例である。
繰り返す大腿部の肉離れの原因は骨盤のバランス?トレーニング中の怪我を防ぐ鍵とは
中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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