多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊症で妊娠できたカイロプラクティックケアとは?

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊症で妊娠できたカイロプラクティックケアとは?

何度も着床に失敗し、諦めかけていた妊娠がついに成功!

30代女性
来院に至った経緯
小学5年生の頃、年の離れた妹が生まれたことをきっかけに、子どもが大好きになった。その影響もあり、将来は保育士になりたいと考え、実際に子どもたちに囲まれる日々を過ごしていた。

25歳で結婚し、夫婦ともに子どもを授かることを心待ちにしていた。しかし、2年間妊活を続けても妊娠することができなかった。インターネットで調べていると、避妊せずに1年以上経っても妊娠しない場合は不妊症とされることを知り、心配になって不妊専門のクリニックを受診した。

診察の結果、特に大きな問題はないため治療を進めていきましょうと提案された。しかし、詳しい検査を受けたところ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された。卵巣に小さな卵胞が多数できてしまい、ホルモンバランスの乱れが生じる状態だという。

「これまで生理不順はなかったですか?」と医師に尋ねられ、思い返すと当てはまることが多かった。中学生の頃から周期が安定せず、3か月に1度しか生理がこないこともあれば、短期間で終わることもあった。高校1年生のときには半年間生理がこなかったこともあったが、不便さを感じることはなく、「来ないなら楽でいいや」と思っていた。また、その頃から手足など末端の冷えやガスが溜まりやすい体質になっていた。

手足の冷えがひどく、家の中でも夏場でも靴下を履いていないと耐えられないほどつま先が冷たかった。便通は3日に1回ほどで、自分では便秘だと認識していなかったが、お腹が張って苦しくなることが多かった。

高校を卒業する頃には、午後になると両側のこめかみがズキズキ痛む頭痛に悩まされるようになった。保育士になってからも午後の頭痛が続き、頭痛薬を手放せなくなったが、不妊治療を始めてからは薬の服用を控えるようにしていた。

保育士としての仕事は、前かがみや中腰の姿勢が多く、肩こりや腰痛に悩まされることが増えた。子どもを抱き上げる際にぎっくり腰になったこともある。

27歳から本格的に不妊治療を開始したが、なかなか成果が得られなかった。PCOSの影響もあり、タイミング法では難しいかもしれないと言われ、何度か試したが結果にはつながらなかった。

そこで顕微授精にステップアップしたが、30歳の時点で卵胞の質が低下し、空砲の卵が多くなっていた。胚盤胞まで育てた2回の移植も、着床には至らなかった。医師からは「数値的に着床の兆候が全くない」と言われ、精神的にも落ち込んだ。

この間、不妊治療に良いとされる鍼灸治療も受けたが、妊娠することはできなかった。できる限りのことは試したものの結果が出ず、時間的な問題や保険適用の治療回数が決まっていることもあり、焦りが募るばかりだった。

そんなとき、夫が「前田カイロプラクティック藤沢院」のホームページで、不妊症から妊娠に至った方の体験談を見つけた。カイロプラクティックは肩こりや腰痛のためのものだと思っていたので、「本当に妊娠に関係があるの?」と疑問に思ったが、もともと肩こりや腰痛もあったため、一度試してみようと来院を決めた。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    腰部起立筋の過緊張

  • 03

    右側の胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤周辺と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右の上後腸骨棘上端内縁と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、腰部起立筋と右側の胸鎖乳突筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階はそれほど慢性的なところは確認されなかったが、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事や不妊クリニックでの不妊治療の関係で週1回のケアから開始した。

8週目(6回目のアジャストメント)には、仕事中に感じていた腰痛や肩こりがほとんどなくなった。午後に頻繁に起きていた頭痛も、最近は出ていないことに気づくほど改善していた。

12週目(8回目のアジャストメント)には、不妊クリニックで「これまで空砲が目立っていた卵胞の質がかなり良くなっている」と言われるようになった。この頃から、手足の冷えが軽減し、以前は靴下なしでは寝られなかったのが、靴下を履かずに眠れるようになった。ガス溜まりによるお腹の張りも気にならなくなった。

16週目(10回目のアジャストメント)には、不妊クリニックで「良質な卵胞が増えている」と言われ、胚盤胞までスムーズに進むようになった。これまでで最もグレードが高い状態だった。

19週目(11回目のアジャストメント)には、顕微授精により胚盤胞まで育ったものを移植し、無事に着床。そのまま妊娠が継続し、元気な女の子を出産することができた。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の不妊症は、骨盤部の歪みと自律神経の乱れが原因であったと考えられる。

子宮は骨盤と3本の靭帯でつながっており、その構造はまるで空中に吊るされたハンモックのような状態になっている。骨盤が歪んでしまうと、このハンモックがねじれたような形になり、本来の安定した状態を保てなくなる。

実際のハンモックでも、ねじれたままでは快適に横になることが難しくなるように、骨盤が不安定な状態では、子宮内の環境も妊娠に適した状態ではなくなる。逆に、骨盤が整えば、子宮は安定し、赤ちゃんが着床しやすい環境が整うと考えられる。

もうひとつ重要なのは、自律神経のバランスである。脳と卵巣は神経を介して絶えず情報をやり取りしており、この連携が正常に機能することで、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌が適切に調整される。

エストロゲン(卵胞ホルモン)は、子宮内膜を厚くして着床しやすくする働きがあり、プロゲステロン(黄体ホルモン)は妊娠の維持に必要なホルモンである。このホルモンバランスが崩れると、生理不順や排卵異常が生じ、不妊の原因となる。今回のケースでは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が診断されていたが、その発症要因のひとつとして、脳下垂体と卵巣のホルモン調整の異常が挙げられる。

検査で異常が確認されたのは、骨盤周辺と上部頸椎だった。これらの部位はどちらも副交感神経が支配する領域であり、ここにサブラクセーション(神経干渉)が生じることで、副交感神経の働きが抑制され、交感神経が過剰に働く状態になっていたと考えられる。

交感神経が過剰に優位になると、末梢の血管が収縮し、手足の血流が滞りやすくなる。今回のケースで見られた末端冷え性も、その影響と考えられる。長期間にわたり交感神経が過度に優位な状態が続くことで、手足の血行不良が慢性化し、冷え性の症状が強くなったのだろう。

また、午後に出る頭痛も、交感神経の過剰な活動が関係していた可能性が高い。肩こりも強く、これがさらなる自律神経の乱れを引き起こしていたと考えられる。筋肉が緊張し続けると、血流が悪化し、酸素や栄養素が十分に供給されなくなる。その結果、頭痛や肩こりが慢性化し、痛み止めでは根本的な改善にはつながらなかったと推測される。

骨盤の歪みは、腰椎の神経にも大きな負担をかける要因となる。慢性的な腰痛があったことや、過去にぎっくり腰を経験していたことを考慮すると、長期間にわたり腰部の神経に負担がかかっていたと考えられる。また、レントゲン所見で確認された椎間板の変性も、骨盤の不安定性と関連していた可能性がある。

便秘に関しては、本人に自覚はなかったものの、3日以上排便がない状態は一般的に便秘と考えられる。胃腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)は、副交感神経が優位なときに活発になるため、副交感神経の働きが低下していたことで、消化管の動きが鈍り、便秘やガス溜まりを引き起こしていたと考えられる。

カイロプラクティックによるアジャストメント(調整)を行うことで、サブラクセーションが改善され、脳と卵巣の神経伝達が正常化した結果、ホルモンバランスが整い、骨盤の安定が子宮の環境改善につながった。結果として、妊娠することができたと考えられる。

このケースでは、不妊だけでなく、自律神経の乱れによるさまざまな症状が見られていた。神経の流れを整え、脳と体の情報伝達を正常に保つことが、健康維持において重要であることを改めて確認できる症例であった。

※不妊治療は時間との戦いでもあります。専門の医療機関での診察を受けながら、できるだけ早くカイロプラクティックケアを取り入れることで、妊娠しやすい体づくりをサポートできます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊症で妊娠できたカイロプラクティックケアとは?
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊症で妊娠できたカイロプラクティックケアとは? 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊症で妊娠できたカイロプラクティックケアとは? 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因の不妊症で妊娠できたカイロプラクティックケアとは?
前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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