20年以上苦しんだ慢性頭痛と吐き気、薬が効かなくなった日々

20年以上苦しんだ慢性頭痛と吐き気、薬が効かなくなった日々

頭痛薬なしで過ごせる快適な毎日へ!

40代女性
来院に至った経緯
仕事は配送業をしており、朝早くから夜遅くまでトラックの運転と荷物の積み下ろしを繰り返す生活を10年以上続けていた。長時間の運転による腰への負担と、重い荷物を扱う動作の繰り返しが原因で、慢性的な腰痛に悩まされるようになった。

特にここ数年は夜になると右脚のふくらはぎが頻繁につるようになり、ほぼ毎晩のように痛みに目を覚まされる日々が続いていた。最初は軽くストレッチをしたり、マッサージを受けたりしていたが、症状は改善せず、さらに悪化していく一方だった。そこで、鍼治療や整体に通いながら対策を試みたが、思うような変化は見られなかった。

また、20歳頃から慢性的な頭痛にも悩まされており、特に夕方以降になると痛みが強くなり、ひどい時には吐き気を伴うほどだった。長年この頭痛と付き合ってきたため、「夕方になると頭痛が来るかもしれない」と予測しながら生活することが当たり前になっていた。症状を抑えるために頭痛薬を常備し、早めに服用することでなんとかやり過ごしてきた。

しかし、半年ほど前から、それまで服用していた頭痛薬が効かなくなり、さらに夜も眠れなくなるようになった。これまで、どれほど頭痛がひどくても寝ることで症状が治まっていたが、最近では痛みのせいで寝つくことができず、眠れても途中で何度も目を覚ましてしまうようになった。朝になれば頭痛は多少軽減するものの、夕方になるとまた再発するという悪循環を繰り返していた。

これまでは薬を飲めば何とか対処できていたものの、薬が効かなくなったことで強い不安を感じ、そろそろ年齢的なことも考えてしっかりと体のメンテナンスをしなければならないと感じるようになった。そこで、「根本的に体を整える方法はないか」と探していたところ、知人から「カイロプラクティックを試してみては?」と勧められ、来院を決意した。


【神奈川県藤沢市から来院】
初診の状態
  • 01

    第一頸椎右横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部右胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    右仙腸関節の可動域制限

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎右横突起と右上後腸骨棘上端内縁に強い浮腫が確認され、頸部右胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD3レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。初回の施術後、2回目までの間隔が2週間以上空いてしまったが、それ以降は週1回のペースを維持しながらケアを継続した。

【3週目】(2回目のアジャストメント)
ほぼ毎晩のように夜中にふくらはぎがつっていたが、この時点でまったくつらなくなった。また、仕事中の腰痛も以前より軽減し、日中の業務に支障を感じることはなくなった。しかし、朝起きた際に腰が固まったような違和感が残っていた。

【5週目】(4回目のアジャストメント)
寝起きに感じていた腰の違和感や痛みも気にならなくなり、さらに頭痛の頻度も明らかに減少。これまで毎日のように頭痛薬を服用していたが、服用回数も減り、夕方以降の頭痛の強さも以前ほどではなくなった。

【9週目】(7回目のアジャストメント)
右仙腸関節上端と内縁にあった浮腫感が顕著に軽減。頭痛はまだ週に2回ほど夕方に出現していたが、以前よりも軽くなり、回復の兆しが見えてきた。この段階で症状が安定してきたため、ケアのペースを2週間に1回に広げることができた。

【15週目】(10回目のアジャストメント)
20年以上苦しんできた夕方の頭痛が完全に消失し、頭痛薬を手放すことができた。また、この頃から睡眠の質も大きく向上し、途中で目が覚めることなく、朝までぐっすり眠れるようになった。朝の目覚めがスッキリとし、仕事の疲労感も大幅に軽減。『こんなに快適に目覚めたのは久しぶり』と本人も驚いていた。

現在は、長年悩まされていた症状がすっかり治まり、快適な日常生活を取り戻すことができたが、今後も健康を維持するために、月1回のペースで定期的なカイロプラクティックケアを継続している。

考察
今回の腰痛の主な原因は、骨盤の歪みによって腰部に過剰な負担がかかっていたことと考えられる。骨盤は体の土台として機能するため、そのバランスが崩れると腰椎や周囲の筋肉にストレスがかかり、慢性的な腰痛へとつながる。また、夜間に頻繁にふくらはぎがつる症状も、骨盤の可動制限による影響が大きいと推測される。

骨盤から下肢へと伸びる神経機能に異常が生じると、下肢の筋肉や関節の動きにも制限がかかり、特定の筋群に過剰な負担が集中する。その結果、夜間にふくらはぎがつる現象が頻発していたのだろう。施術を進める中で骨盤の安定性が回復するとともに、この症状が消失したことからも、骨盤の影響が大きかったことが裏付けられる。

また、20年以上続いていた頭痛の問題についても、交感神経の過剰な働きが関与していたと考えられる。特に、夕方以降に発症する頭痛は、交感神経が優位な状態が長時間続いた結果、緊張性頭痛として現れることが多い。このケースでは、夕方に頻繁に頭痛が出ていたことからも、交感神経の過活動が示唆される。

さらに、不眠症の発症も交感神経の過剰な働きが原因であった可能性が高い。交感神経が優位な状態が続くと、副交感神経が適切に働かず、リラックスできないため、寝つきが悪くなり、途中で何度も目が覚めるといった睡眠障害を引き起こす。

自律神経は一度乱れると、その周期が正常化するまでには最低でも3か月程度の時間を要するとされている。実際に今回のケースでも、頭痛や不眠症が改善するまでに約3か月かかったことからも、自律神経の乱れが根本的な原因だったことが示唆される。

頸椎に関しては、C5の椎間板がD5レベルの慢性的な変性を示していたが、触診では可動性が過剰になっており、いわゆるハイパーモビリティ(過可動)の状態であった。そのため、C5には直接アプローチせず、上部頸椎に対して施術を行ったことが、症状の改善につながったと考えられる。

また、特に外傷歴がなく、1か所の椎間板のみが薄くなっている場合、その部位の上下がフィクセーション(可動制限)を起こしていることが多い。このような状態では、固定された部分の影響で椎間板が薄くなっている部位だけが過可動となり、結果的に関節面や椎体が摩耗しやすくなる。このパターンは臨床でも頻繁に確認されるものであり、今回のケースもその典型的な例であった。

「椎間板に損傷がある=その部位をアジャストメントする」という考え方は必ずしも正しくない。神経系のバランスを正確に評価し、サブラクセーション(神経の圧迫)の特定と適切なアジャストメントを行うことが、根本的な改善につながる。

今回の症例からも、適切な検査をもとに神経系の流れを整え、体の情報を正しく脳へ届けることの重要性が改めて示された。
20年以上苦しんだ慢性頭痛と吐き気、薬が効かなくなった日々
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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