50mも歩けなかった右脚のしびれと夜も眠れない左肩の激痛が改善！

痛み止めも効かなかった長年の悩み…遠方から通い続け、ついに改善へ！

来院に至った経緯

15年ほど前に初めてぎっくり腰を経験し、それ以来、慢性的な腰痛に悩まされるようになった。これまでに5回ほどぎっくり腰を繰り返し、そのたびに重い物を持ち上げたり、掃除をしたり、中腰の姿勢がきっかけで痛めてしまっていた。

1年ほど前から腰痛が悪化し、近所の整体院をいくつか試してみた。施術直後は一時的に腰や臀部の張りが和らぐ感覚があったものの、帰宅する頃にはすぐに元に戻ってしまい、根本的な改善には至らなかった。

3か月前、トムソンベッドを使用する整体院に通った際、施術を受けるたびにベッドが何度もガシャンガシャンと動かされ、施術後に起き上がると突然右脚に強いしびれが発生。その日は歩くことができず、家族に連絡して迎えに来てもらうことになった。

翌日以降も右脚のしびれは強く、50m先のコンビニにすら歩いて行けない状態に。病院でレントゲン・MRI検査を受けたが、「腰にすべり症がある」と診断され、痛み止めを処方されたものの、根本的な治療はされなかった。

その後、2か月前からは左肩の裏に激しい痛みを感じるようになり、夜も眠れなくなった。なんとか楽な姿勢を見つけて寝ても、寝返りを打つと痛みで目を覚ましてしまうほどだった。

数年前には右肩にも同様の痛みを感じたことがあり、そのときは1か月ほどで治まったが、今回の左肩の痛みは2か月経っても変化がなく、病院では痛み止めを処方されるだけで改善しなかった。

5年前から首や肩に重いものが乗っているような強い肩こりを感じており、現在では肩の痛みで腕を水平までしか上げられず、高い物を取る、ジャケットを着る、下着をつけるといった動作が困難になっていた。

左肩の痛みと右脚のしびれが続き、寝ても寝た気がしない状態で、朝は睡眠不足でぼんやりし、首・肩・腰周りの筋肉がガチガチに固まってしまっているのが自分でも分かるほどだった。

日常生活に支障をきたす状態だったため、最後に施術を受けた整体院を訪れ、右脚のしびれについて相談したものの、「対応できない」と言われてしまい、不安を感じて整体院に通うのが怖くなった。病院で処方された痛み止めも効果がなく、結局、家で安静にするしかなかった。

加えて、体の痛みだけでなく、高血圧・高コレステロール・高尿酸値といった健康問題も抱え、年々服用する薬の量が増えていた。20代の頃から太りやすい体質で、病院の医師からも「食事を見直し、有酸素運動を取り入れるように」と指導されていたが、思うように改善しなかった。

これまでの不摂生が積み重なり、年齢とともに体が悪くなっていくのは仕方のないことだと諦めかけていたが、そんなとき、サッカーをしている孫がカイロプラクティック院で腰痛が改善したという話を聞いた。

そのカイロプラクティック院では、提携する医療機関でレントゲンを撮影し、安全に施術を行っているとのことで、「お母さんも通った方がいい」と娘に強く勧められた。

他県のため通院は遠方になったが、近所の整体院での経験がトラウマになっていたため、娘や孫が信頼している先生なら試してみようと考え、当院へ来院した。


【静岡県静岡市から来院】

初診の状態

• 01

  右仙腸関節の明らかな可動域制限

• 02

  首から肩にかけての過緊張

• 03

  右仙骨翼にスポンジ状の浮腫

経過と内容

初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部胸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右仙骨翼と上部胸椎に強い浮腫が確認され、腰部起立筋やと首から肩にかけては過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD5レベルが確認され、首の前弯カーブ（前カーブ）は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、他県で遠方からの来院だったため週1回も難しく、2週間に一度のペースからケアから開始した。

5週目(3回目のアジャストメント)には、右脚のしびれが軽減し、300mほどの距離を歩けるようになった。左肩の痛みも大幅に軽減し、睡眠の質が向上した。

19週目(9回目のアジャストメント)には、右脚のしびれはほぼ消失したものの、右脚全体の重だるさと右臀部の鋭い痛みが現れた。左肩の痛みは、寝ているときはほぼ気にならない状態となった。

34週目(15回目のアジャストメント)には、右脚のしびれは完全に消失し、40年以上続いた腰痛もほぼ感じなくなった。肩の可動域も向上し、高い所にある物も取れるようになった。

46週目(20回目のアジャストメント)には、長年の肩こりが改善し、人生で初めて肩が軽いと感じるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察

今回のケースで見られた右脚のしびれは、右仙腸関節の可動域の制限が主な原因であったと考えられる。

レントゲン検査では、腰部の椎間板に慢性的な変性が認められ、6段階中5段階という進行した状態であった。椎間板は構造上、ねじれの動作に弱い特徴を持つ。骨盤には左右に仙腸関節があり、どちらかの可動性が低下するとバランスを取るために反対側の関節が過度に動いてしまう。

このようなアンバランスが生じると、歩行時に腰部の椎間板へねじれの負荷が加わり続け、徐々に椎間板の厚みが減少し、神経への影響が強まっていく。

右脚のしびれが強くなったのは、痛みの進行過程の一部といえる。痛みの経過は「正常→痛み→しびれ→麻痺」と進行するが、回復する際にはその逆の経過をたどる。「麻痺→しびれ→痛み→正常」へと段階的に改善していくケースが多くみられる。

今回の症例でも、施術が進むにつれてしびれが軽減する一方で、回復過程の途中で右脚全体に重だるさが生じ、右臀部には鋭い痛みが現れた。これは、長年にわたり腰椎や骨盤部の神経にかかっていた負荷が、回復に伴い異なる形で表面化したものであると考えられる。

日常生活にも大きな支障を及ぼしていた左肩の痛みは、上部胸椎の影響によるものと推測される。肩のどの部分に痛みが出るかによって、どの神経が負担を受けているかの判断に役立つことできる。

今回のように肩の後方に痛みが現れる場合、上部胸椎に関連した問題である可能性が高い。しかし、根本的な原因を追究すると、背骨を支える土台である骨盤の歪みが、胸椎に過剰な負担をかけていたとも考えられる。背骨は骨盤の上に乗る構造であるため、上部胸椎に異常が確認された場合でも、まず骨盤部の状態を確認することが重要である。

今回のケースでは、体表温度検査、浮腫の有無、可動域の制限など、すべての指標で上部胸椎に強い反応が出ていた。過去には右肩に似たような痛みがあり、時間の経過とともに左肩へと症状が移行したことを考えると、長期間にわたり上部胸椎の神経に負荷がかかり続けていたことが推測される。

また、この患者は高コレステロールや高尿酸値といった代謝異常を抱えており、これらの数値は薬の服用によって抑えられていたため、明確な変化は見られなかった。しかし、上部胸椎は甲状腺の働きと深く関係しており、代謝の低下によって脂質や尿酸の代謝機能が低下していた可能性が考えられる。

加えて、上部胸椎は心臓の機能とも関連があるため、高血圧との関係も否定できない。20代の頃から体重が落ちにくいと感じていた点も、甲状腺機能の低下による代謝不良が影響していた可能性が高い。

アジャストメントにより神経の働きが整えられたことで、右脚のしびれや腰の痛み、さらには左肩の激しい痛みも軽減されたと考えられる。

今回のケースでは、長年続いた腰痛に加え、歩行が困難になるほどの右脚のしびれや、夜間も眠れないほどの肩の痛みといった重篤な症状がみられた。遠方からの来院で施術の頻度が限られたため、改善までには時間を要したが、神経の流れを正常化し、体の情報が脳へ適切に伝わることの重要性を改めて実感できる症例となった。