辛いPMS(月経前症候群)の腹痛が改善!自律神経バランスを整えたケアとは?

辛いPMS(月経前症候群)の腹痛が改善!自律神経バランスを整えたケアとは?

生理前の痛み・イライラが軽減!PMSを和らげる根本的なアプローチ

40代女性
来院に至った経緯
仕事はデスクワークが中心で、一日中座りっぱなしの時間が長い。アクティブな趣味を楽しんでいるものの、平日は同じ姿勢を続けることが多く、最近では血行が悪くなっていることを実感するようになった。特に夕方になると足のむくみや冷えが気になり、肩や腰のこわばりも感じやすくなっている。適度なストレッチや運動を取り入れるようにしているが根本的な改善には至らず、日々の疲労が抜けにくい状態が続いていた。

学生時代から生理痛に悩まされており、特に下腹部の強い痛みに苦しんできた。しかし、年齢を重ねるにつれて症状が変化し、生理前から違和感を覚えるようになった。最近では下腹部の締め付けられるような痛みに加え、腰の重だるさや体のむくみが気になるようになってきた。さらに、メンタルの不調も目立つようになり、生理前は気分の浮き沈みが激しく、些細なことでイライラしたり不安感が強くなったりすることが増えた。

以前は生理中の痛みが最大の悩みだったが、今では生理前の体調変化のほうが負担に感じることが多くなっている。集中力が落ちるだけでなく日常生活にも影響を及ぼすようになり、このままでは仕事や趣味にも支障が出るのではないかという不安を抱えていた。

生理周期に伴う不調は、ホルモンバランスの乱れが関係していると考え、食事や生活習慣の見直しにも取り組んだ。カフェインや甘いものを控えるようにしたり、湯船に浸かる時間を増やしてリラックスするように心がけたりしたが劇的な改善にはつながらなかった。また、運動を続けることである程度は調子が整うものの生理前の倦怠感や頭痛、むくみは避けられず、もっと根本的なケアが必要ではないかと感じるようになった。

ワクチン接種後に強い副作用を経験したことがきっかけで、自分の体と向き合う意識がより高まった。接種後しばらくの間、だるさや関節の痛みが続き、免疫バランスの乱れを感じることがあった。体調の変化に敏感になり、自然な方法で不調を改善したいという気持ちが強くなった。

生理周期の不調や血行不良の改善策を模索する中で、カイロプラクティックに興味を持つようになった。自律神経やホルモンバランスの調整にアプローチできる点に魅力を感じ、体の根本から整えることで長年の悩みが軽減できるのではないかと期待を抱いた。

日常生活の中で意識的に体を動かしながら不調を少しでも和らげたいと考えるようになり、より専門的なケアを受けることを決意。根本改善を目指し、カイロプラクティックの施術を受けることにした。


【神奈川県茅ケ崎市から来院】
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の明らかな可動域制限、左脊柱起立筋の筋緊張

  • 02

    仙骨全体に広がる浮腫感

  • 03

    左上部頚椎部位での強い浮腫感

経過と内容
初診時の状態では、上部頚椎と骨盤には明らかな可動域制限と強い浮腫感、体表温度検査では明らかに左右の温度の誤差が確認された。
初期集中期の段階では週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、いつも月経の10日前くらいから腹痛が発症していたが、腹痛はあるが期間が短くなった。仙骨翼の浮腫感の軽減を確認。

9週目(6回目のアジャストメント)には、仕事で長時間座っていることが多いが、腰の痛み、怠さが軽減していると話されていた。

13週目(8回目のアジャストメント)には、以前はお腹を締め付けられるような痛みで仕事に支障があったが、腹痛が緩和し仕事での影響はなくなってきている。腰部の脊柱起立筋の筋緊張も左側の筋緊張つ強く左右差があったが改善してきている。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回のPMS(月経前症候群)は、自律神経の乱れたことが原因であったと考えられる。

PMS(月経前症候群)は、生理前に現れるさまざまな身体的・精神的な症状の総称であり、特に下腹部の痛みを訴える女性は少なくはない。このPMS(月経前症候群)に伴う腹痛は、ホルモンバランスの変動、自律神経の乱れ、プロスタグランジンの影響などが複雑に絡み合って引き起こされると考えられる。

生理前の黄体期には、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンのバランスが変化するが、このホルモンの変動がプロスタグランジンの分泌にも影響を与えることで子宮の収縮が強まり、腹痛を引き起こす。

プロスタグランジンは子宮を収縮させる働きを持つホルモン様物質であり、生理前や生理中に過剰に分泌されると子宮だけでなく腸の動きにも影響を与える。そのためPMS(月経前症候群)の際に腹痛だけでなく、下痢や便秘といった症状が現れることもある。

またエストロゲンの急激な低下は、体内の痛みを抑える物質であるβエンドルフィンの分泌を減少させるため、生理前の腹痛が強くなる要因となる。ホルモンバランスの乱れによる血流低下が、子宮周辺の筋肉を硬直させ、さらなる痛みを引き起こすこともある。

交感神経と副交感神経のバランスは女性ホルモンの調整にも深く関わってる。特に生理前は交感神経が優位になりやすく血流の低下や筋肉の緊張を引き起こし、腹痛の悪化につながることがある。

プロゲステロンの増加によって基礎体温が上昇し、エネルギー消費が増えるとともに血管が収縮しやすくなるため、交感神経が活発になりやすい状態になる。さらに生理前のエストロゲン低下により副交感神経の働きが弱まり、結果的に交感神経が優位な状態が続く。また、エストロゲンは脳内のセロトニンの分泌を促進する働きがあるが、生理前になるとエストロゲンの減少によってセロトニンも低下し、ストレス耐性が低下することが知られている。この影響で精神的にも不安定になりやすく、イライラや気分の落ち込みが強くなる原因となる。

ホルモンバランスの変動によって、精神的・肉体的なストレスを感じやすくなる生理前の時期。このストレスに対応するために副腎から分泌されるコルチゾールが増加すると交感神経の活動がさらに活発になり、心拍数や血圧の上昇を引き起こす。その結果、緊張感や焦燥感が増しPMSの症状がより悪化するという悪循環に陥ることもある。

ホルモンの急激な変動は自律神経のバランスにも影響を及ぼす。生理前に交感神経が過剰に優位になることで、冷えや肩こり、頭痛、腹痛、イライラなどのPMS症状が悪化しやすくなる。

アジャストメントによりサブラクセーションが取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、PMS(月経前症候群)の改善に繋がったと考えられる。

長年続いていたPMS(月経前症候群)で悩んでいたが、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。
辛いPMS(月経前症候群)の腹痛が改善!自律神経バランスを整えたケアとは?
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中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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