右肩痛(不安感、不眠症、頭痛、呼吸が浅い、下痢、アトピー性皮膚炎)

右肩痛(不安感、不眠症、頭痛、呼吸が浅い、下痢、アトピー性皮膚炎)

右肩の痛みがなくなってボーリングができるようになった!

40代男性
来院に至った経緯
1年半前にバイク事故を起こして右肩を強打してから、ずっと右肩痛が続いている。右肩痛は動かすたびに右肩の上端に痛みがあり、どの方向に動かしても痛みがあった。四十肩・五十肩のような上がらないということではなく、動かすと右肩から痛みがあった。

一番困っているのはバイク事故後、趣味のボーリングができなくなり、ものすごくストレスが溜まることだった。元々、不安感があって考えなくてもよいことまで考えてしまうクセがあった。

10年くらい前から不眠症の気もあり、考え過ぎてしまい眠れず、酷いとそのまま朝を迎えてしまうということもあった。仕事はデスクワークでパソコン作業が続くが、午後になると頻繁に頭痛を感じるようになり、3日に一度は頭痛薬を飲むほどの頭痛に襲われた。

頭痛がしてくると呼吸が浅いなと感じることが多くなり、パソコン作業をしていても気づくと息が止まっていたのではないかと思うほど、呼吸をしてないことに気づいた。

お腹の調子も悪く、いつでも下痢っぽい便が続いていた。特に腹痛などはなく、アルコールを飲むでも脂っこいものを食べるでもないのに、いつも下痢だった。またアトピー性皮膚炎もあり、少し疲れが溜まってくるとすぐに肌荒れを起こしてしまっていた。

バイク事故を起こして趣味のボーリングができなくなってからは、ストレスからか不安感や不眠症がさらに酷くなった。病院へ行くと、当たり前のように抗不安薬や睡眠薬を処方され、薬だけは頼りたくないと思い、飲まずに代替医療を探すようになった。

四十肩・五十肩専門の整体院、針鍼灸院、接骨院など神奈川県内にある評判の治療院を巡ってみたが、右肩痛に関してはまったく改善しなかった。趣味のボーリングさえできれば、ストレスもコントロールできるという思いが強かったため、諦めずに都内の方まで足を延ばすようになったが、そこへ行っても痛み自体は何も変わらなかった。

そんなときYoutubeで塩川満章先生の動画を見る機会があった。調べてみると東京の銀座にある塩川カイロプラクティック治療室でやっているようで問い合わせてみたが、塩川先生のご新規の予約はストップしていると言われてしまった。

どちらからお越しの予定ですかと聞かれたので神奈川県の横浜市からということを伝えると、当院の副院長だった前田先生が藤沢駅前で開院されていますよと教えてもらい、藤沢までなら電車で10分だし、副院長を務めていた先生なら大丈夫だろうという思いで当院に来院された。


【神奈川県横浜市戸塚区から来院】
初診の状態
  • 01

    右仙腸関節の明らかな可動域制限

  • 02

    第7頸椎の可動域制限と強い浮腫感

  • 03

    第一頸椎右横突起の強い浮腫感

経過と内容
初診時の状態では、右の仙腸関節と第一頸椎、そして第7頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎、そして第7頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また右上後腸骨棘上端と第一頸椎右横突起、そして隆椎周辺に強い浮腫が確認された。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

3週目(3回目のアジャストメント)には、右肩の痛みに変化が出てきた。以前はどのよう方向に動かしても右肩上端に痛みが出ていたが、手を後ろに回さなければ痛みは出なくなった。

5週目(5回目のアジャストメント)には、右肩の痛みはほとんど気にならなくなった。試しにボーリングを軽くやってみると終わった後は多少痛みがあったものの、投げている間はほとんど気にならなかった。ここから右肩痛ではなく、自律神経症状に対してアプローチを切り替えた。

8週目(8回目のアジャストメント)には、午後になると出る頭痛はほとんど気にならなくなり、頭痛薬はまったく飲まなくなった。頭痛が出ないと呼吸が浅い感じもそれほど気にならなくなった。

10週目(10回目のアジャストメント)には、睡眠の質も少し良くなった気がして、寝起きに体力が回復していると感じるようになった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

20週目(15回目のアジャストメント)には、不安感もそれほど感じなくなり、いつもだったら起きてもいないことを考えて心配になってしまうが、それほど気にならなくなった。また下痢はそういえば最近下痢にならないですねと本人も忘れていたほどだった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の右肩痛自体は、バイクの事故による外傷が原因であるが、今回のケースの場合はその前からある自律神経症状を考慮してアプローチを定めなければならない。

今回は患者本人が、ボーリングができないことが何よりも苦痛だという強い意志を感じたため、まずは右肩痛に対してアプローチを開始した。右肩痛に対して考慮するべき点は、第一に下部頸椎や上部胸椎など肩から腕、指先に向かって伸びる神経である。

右肩痛自体はバイク事故の外傷によるものだが、だとしても1年半もの間、まったく痛みが変わらないというのは説明として無理がある。人間には必ず治るチカラという無限のチカラが存在している。

1年半もの長い期間に、まったく治癒していないということは、治るチカラ(自然治癒力)が働いていないことを意味している。検査では頸椎7番に強い反応があったが、まさに肩の上端に繋がる神経である。

こちらでも右肩に対して直接のアプローチは行ったが、一番は頸椎7番から伸びる神経が問題であったと考えられる。サブラクセーション(根本原因)によって、治るチカラが働かずに1年半もの間、神経に負担を掛け続けたことで慢性的な右肩痛になってしまったのだろう。

右肩痛が安定してから、自律神経の問題に対するアプローチに移行した。検査では骨盤部と上部頸椎に強い反応が見られた。10年以上前からあった問題であることを考慮すると、骨盤部や上部頸椎などの副交感神経支配の部位には慢性的な負荷が掛っていたと考えられる。

不眠症などはまさにその問題であり、休まる神経である副交感神経が上手く機能せず、交感神経が過剰に働いた結果として、不眠症になっていたと考えられる。交感神経が過剰な状態とは常に緊張状態ということを意味している。

人間、誰しも緊張すれば呼吸が浅くなってしまうし、午後以降に出る頭痛は緊張性の頭痛で交感神経が過剰に働いている人の特徴でもある。また下痢などの過敏性腸症候群も、交感神経が過剰に働き排出機能が著しく高まってしまったことが原因だと考えられる。

通常、消化器系の働きは副交感神経によって支配されているが、今回のように無痛での下痢症状というのは交感神経が過剰に働いているケースが多くみられる。単純な下痢だとしても、それは体からのSOSのサインとなる。どこの神経系の問題なのかを特定する検査が何よりも重要となる。

アトピー性皮膚炎に関しては、さまざまな問題が考えられる。副腎支配領域の問題、甲状腺機能低下の問題、土台である骨盤部の乱れから2次的要素で副腎などの臓器に負担が掛かっている問題と多岐にわたる。今回の場合は、典型的な自律神経の乱れからであったと考えられる。

不眠症、午後以降の頭痛、呼吸が浅い問題など明らかに交感神経過剰な状態であったが、それ以外に不安感があったことを考えると、自律神経の乱れからホルモンバランス異常を起こしていたと考えられる。

ホルモンとは人間の精神面に大きな影響を与えてしまうものであり、現在分かっているだけでも100種類以上のホルモンが存在しているとされており、まだまだ新しいホルモンが発見されつづけている。

副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンなど代表的なホルモンはいくつか存在しているが、体内のケミカルバランスは自律神経によって正常に保たれている。ホルモンの分泌量は、多すぎても少なすぎても人体には大きな影響を及ぼしてしまう。

不安感やアトピー性皮膚炎は、セロトニンや副腎皮質ホルモンといったホルモン分泌異常が引き起こしていたものと考えられ、なぜそれが起こったのかというと自律神経に乱れによるものと考えられる。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。今回のケースのように1年半前のバイク事故による右肩痛の問題と、10年以上前からある自律神経の問題ではアプローチする神経系がまったく異なってくる。

最もやってはいけないことは、何も考察を持たずにアプローチをすることである。このような行為はアクセルとブレーキを同時に踏むような行為となり、意味がないどころか、下手をすれば事故にも繋がってしまうことである。

カイロプラクティックのアプローチでも同じことで、検査によって問題の神経を特定して、考察を持ってアプローチしなければならない。今回の症例では、あらためて問題の神経系を絞ってアプローチすることの重要性が分かる症例である。
右肩痛(不安感、不眠症、頭痛、呼吸が浅い、下痢、アトピー性皮膚炎)
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前田 一真

執筆者前田 一真

神奈川県藤沢市出身。1972年に塩川満章D.C.が開院した銀座の塩川カイロプラクティック治療室に内弟子として入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。2023年5月に地元である藤沢の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティック治療室で学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、【前田カイロプラクティック藤沢院】を開院。

笑顔溢れ、心豊かに、幸せな毎日をサポートできるようにカイロプラクターとして尽力している。またシオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を目指している。

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