「食事制限をしても、運動をしても、なぜか思うように痩せない…」

そんな経験をしたことはありませんか？

 

肥満の主な原因としてカロリーの摂取過多や運動不足が挙げられますが、それだけが全てではありません。実は、すい臓の働きが大きく関係しているのです。

 

すい臓は消化液の分泌や血糖値の調整という重要な役割を担っていますが、この機能が乱れると脂肪の蓄積が進み、肥満を引き起こしやすくなります。

 

このコラムでは、 すい臓の生理学的役割とホルモンバランスの仕組み、さらに カイロプラクティックがどのように神経調整を通じて肥満予防に繋がるのかについて解説します。

 

すい臓の2つの重要な機能

① 三大栄養素を分解する「すい液」の分泌

すい臓は、タンパク質・脂質・糖質を消化するための消化酵素を含んだ「すい液」を分泌します。食べ物が胃から十二指腸に運ばれると、すい液が放出され、栄養素の分解が促されます。

 

すい臓内では、これらの酵素は不活性状態で存在しており、腸に到達した段階で初めて活性化し、消化を開始します。

 

② 血糖値の調整を担うホルモンの分泌

すい臓は、血糖値を調整する 「インスリン」と「グルカゴン」 というホルモンを分泌します。

 

インスリン：血糖値を下げる（糖を脂肪として蓄える）

グルカゴン：血糖値を上げる（糖をエネルギー源として放出する）

 

血糖値が急激に上昇すると、すい臓は大量のインスリンを分泌し、糖を脂肪細胞に取り込ませることで血糖値を下げようとします。その結果、 脂肪の蓄積が進み、体重増加につながるのです。

 

血糖値がゆるやかに上がる場合には問題になりませんが、現代の食生活では精製された糖質の摂取量が多く、血糖値の急上昇が頻繁に起こるためインスリンの過剰分泌が続き、脂肪が蓄積しやすい体質が形成されてしまいます。

 

なぜ血糖値を下げるホルモンはインスリンだけなのか？進化が生んだ驚きのメカニズム

血糖値を下げる働きがあるインスリンは、現代人にはとても重要なホルモンとなります。 なぜなら血糖値を下げるホルモンは体内で唯一、このインスリンだけになります。

 

反対に、血糖値を上げるホルモンはいくつもあります。 脳から分泌される成長ホルモンやソマトスタチン(一部すい臓からも分泌)、副腎皮質から分泌されるコルチゾールやアルドステロン、副腎髄質から分泌されるカテコールアミン、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン、そしてすい臓から分泌されるグルカゴンとなります。

 

精巧な機械のようにバランスよく作られているはずの人間の身体が、どうしてこと血糖値を調整するホルモンのバランスに関してはこれほど偏っているのでしょうか。これには人類の歴史が関係していると考えられます。

 

人類が誕生して400万年ほどと言われています。 特に日本では生活に困るほど食べ物がないということはまずありません。

 

しかし人類の歴史で見てみると、そうなったのはつい最近と言えます。 人類がまだ狩りをしていたときは、その日食べるものがないという日のほうが多かったことでしょう。

 

そのため人間の身体はそもそも血糖値を下げる必要性がなかったと考えられます。 現代では簡単に食べ物が手に入り血糖値は上がる一方であり、すい臓には大きな負担になり、肥満人口の上昇に繋がってしまいます。

 

現代人の全員が肥満かといえばそうではありません。 人によって食べ過ぎてもまったく太らない人と、少ししか食べてないのにすぐに太ってしまう人が皆さんの周りにもいると思います。

 

カイロプラクティックとすい臓の関係 – 神経のバランスがホルモン調整の鍵

ホルモンの分泌は、単に内分泌系の働きによるものではなく、神経の影響を大きく受けています。

 

血糖値を下げるホルモンは、すい臓から分泌されるインスリンのみですが、血糖値を上げるホルモンは複数存在し、体内のさまざまな分泌腺から放出されています。そして、これらのホルモン分泌を統括・調整しているのが脳となります。

 

神経のサイクルが乱れると、脳が適切な情報を受け取れなくなり、血糖値の状態を正しく把握できなくなります。その結果、本来必要のない場面でインスリンが過剰に分泌され、血糖が過剰に脂肪へと変換されることで、肥満の原因となるのです。

 

逆に、食べても太らない人がいるのも、この神経のバランスが関係している可能性があります。低血糖が頻繁に起こることで、太るという見た目の変化が少ない代わりに糖尿病リスクが高まるケースもあります。

 

神経のサイクルが正常に機能しないと、ホルモン分泌をコントロールする脳と内分泌腺の連携が乱れ、体の代謝や血糖値調整が適切に行われなくなります。

 

カイロプラクティックは単に痛みを取り除くだけの施術ではなく、神経のバランスを整えてホルモン分泌を正常化することで、健康的な代謝と肥満予防にも貢献します。

 

また、食べ過ぎの問題も神経のサイクルの乱れが影響していることがあります。私たちの脳には「満腹中枢」と呼ばれる領域があり、これがレプチンというホルモンによって刺激されることで、「満腹」の信号を発する仕組みになっています。しかし、神経の情報伝達が乱れていると、満腹のサインが脳に正しく届かず、食べ過ぎの原因となることもあるのです。

 

脳は本来、間違いを犯しません。にもかかわらず、身体の調整機能が乱れるのは、神経のサイクルが崩れ、体からの情報が脳へ適切に伝わっていないことが原因と考えられます。

 

カイロプラクティックによって神経の流れを整えることで、脳は本来の機能を取り戻し、代謝や血糖値の調整がスムーズに行われ、身体のバランスが自然と整っていきます。

 

人間の身体には、まだ解明されていない多くの仕組みが存在しますが、脳は常に私たちの体を最適な状態に保つ役割を担っています。カイロプラクティックで神経のサイクルを正常化し、体を自然な代謝が行われる状態に戻していきましょう！