ストレスが生理痛を悪化させる理由とは? 自律神経とホルモンバランスの関係

「生理痛がいつもよりつらい…」「ストレスが溜まると生理が重くなる気がする」 そんな経験はありませんか?実は、生理痛とストレスには深い関係があり、日々のストレスが強いほど痛みが悪化しやすくなるのです。その背景には、自律神経と女性ホルモンのバランスの密接な関係が関わっています。
今回のコラムでは、ストレスと生理痛の関係性についてお伝えしていきます。
ストレスが自律神経を乱し、生理痛を悪化させる
私たちの体には自律神経 という無意識のうちに体の機能を調整するシステムがあります。自律神経には、活動モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経があり、この2つのバランスが取れていることで血流やホルモン分泌がスムーズに行われます。
しかし、ストレスを感じるとこの交感神経と副交感神経のバランスが乱れしてしまいます。すると血管が収縮し、血流が悪くなりやすくなるのです。特に、骨盤周辺の血流が滞ることで子宮の筋肉が緊張しやすくなり、経血を押し出すための収縮が過剰になってしまうため生理痛が強くなります。
また、ストレスによる自律神経の乱れは腸の働きにも影響します。腸と子宮は骨盤内で近い位置にあり腸内環境が悪化すると、ガスがたまったり便秘になったりすることで子宮を圧迫し、生理痛をさらに悪化させることもあります。さらに、腸の動きが低下すると女性ホルモンの代謝がスムーズに行われず、ホルモンバランスの乱れを助長してしまうこともあります。
ストレスがホルモンバランスを崩し、生理痛を引き起こす
自律神経は、 ホルモン分泌を司る視床下部 と深い関わりがあります。視床下部は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌をコントロールする重要な司令塔ですが、ストレスが長期間続くと視床下部の働きが乱れ、女性ホルモンの分泌が不安定になってしまいます。
ホルモンバランスが崩れると生理周期が乱れるだけでなく、 子宮の収縮を促すプロスタグランジンというホルモンの分泌が増え生理痛をより強く感じる原因 になることも。さらに、生理前のPMS(月経前症候群)が悪化し、イライラや倦怠感、頭痛、むくみなどの不調が増してしまうこともあります。
ストレスが蓄積すると、副腎からコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールが過剰に分泌されるとエストロゲンやプロゲステロンのバランスが乱れやすくなり、 生理痛だけでなく更年期症状のような不調が出ることも あります。また、コルチゾールが多い状態が続くと女性ホルモンの分泌量が減少し、生理不順や無月経につながることもあります。
ストレスは「生理の質」にも影響を与える
ストレスがかかると生理痛が悪化するだけでなく、経血の状態にも変化が起こることがあります。たとえば、ストレスが強いと経血量が少なくなったり、逆に多くなったりすることがあります。また、血流が悪くなることで血の塊(レバー上のかたまり)が増えることもあります。
さらに、ストレスの影響で排卵がうまく行われない場合、無排卵月経となり経血の色が薄くなったり、生理の期間が短縮したりすることもあります。逆に、ホルモンの乱れが原因でダラダラと長期間生理が続くこともあり、体への負担が大きくなります。
また、ストレスは 痛みに対する感受性 にも影響を及ぼします。慢性的なストレス状態にあると脳が痛みを感じやすくなり、通常よりも生理痛を強く感じることがあります。これは、ストレスによって神経伝達物質のバランスが崩れることで脳が過敏に反応するためです。
ストレスが引き起こすその他の生理トラブル
ストレスが続くと、生理痛以外にもさまざまな不調を引き起こします。
- 生理周期の乱れ(ストレスによるホルモンバランスの乱れで、月経が早まる・遅れる)
- 無月経(長期間のストレスにより排卵が止まり、生理が来なくなる)
- PMSの悪化(イライラ・頭痛・むくみ・抑うつ症状が強くなる)
- 不眠や疲労感の増加(自律神経の乱れによる睡眠の質の低下)
- 冷えやむくみ(ストレスによる血流の低下で体温調節がうまくいかなくなる)
こうした症状が続くと日常生活にも大きな影響を及ぼし、仕事や家事が思うようにできなくなったり気分の浮き沈みが激しくなったりすることもあります。
生理痛を「ストレスのバロメーター」として捉える
生理痛は、単に子宮の問題だけではなくストレスによる自律神経の乱れやホルモンバランスの崩れが影響していることがわかります。もし「いつもより生理痛がひどい」と感じたら、それは 体がストレスを感じているサイン かもしれません。
ストレスが積み重なることで生理痛だけでなく、生理不順やPMSの悪化といった症状にもつながります。自分の体の声に耳を傾け、ストレスが生理に与える影響を理解することが、生理痛の軽減や体調管理につながるかもしれません。
自信の体の状態と上手に向き合い、生理痛の悪化を防ぎ、毎月の生理を少しでも快適に過ごせるようにしていきましょう。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。