ホットフラッシュの具体的なメカニズム、脳と神経との関係性とは?

更年期症状のホットフラッシュは、なぜ突然カーッと熱くなり、大量の汗が出るのでしょうか。
更年期に入ると、多くの女性が経験する「ホットフラッシュ」。顔や首、胸元が急に熱くなり、同時に汗が噴き出すような感覚に見舞われます。この症状は数十秒から数分程度でおさまることが多いものの、1日に何度も繰り返すことで生活の質を大きく下げてしまう原因となります。
では、このホットフラッシュはなぜ起こるのでしょうか?
そのカギを握っているのが、「女性ホルモン(エストロゲン)の減少」と「自律神経の誤作動」、そして「脳と神経の連携の乱れ」です。
今回のコラムでは、ホットフラッシュの具体的なメカニズム、脳と神経との関係性についてお伝えしていきます。
エストロゲンの減少が引き起こす体温調節中枢の混乱
更年期に差しかかると、卵巣の働きが低下し、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の分泌量が急激に減少します。エストロゲンは妊娠や生理に関わるだけでなく、脳の視床下部という部分に働きかけ、体温調節や感情の安定にも深く関わっています。
このエストロゲンが不足すると視床下部が敏感になり、わずかな温度変化やストレスにも過剰反応を起こすようになります。結果的に実際には体温が上昇していないにもかかわらず、「体温が上がった」という誤った信号が脳から送られてしまうのです。
脳と神経の連携が乱れると、誤作動が起きる
脳は、私たちの体の司令塔です。中でも視床下部は自律神経系・ホルモン系・免疫系の働きをコントロールしており、体内のさまざまなバランスを保つために常に働き続けています。
この脳の指令は、「神経」を通じて体中に伝達されます。脳と身体は“神経ネットワーク”によってつながっているのです。ところが、更年期でホルモンバランスが崩れ、さらにストレスや睡眠不足などが重なると、この脳と神経の情報伝達がうまくいかなくなります。
そうすると、体が必要としていないのに「汗をかけ」「体温を下げろ」という誤った命令が神経を通じて伝わり、血管の拡張や発汗が引き起こされてしまうのです。
自律神経の誤作動による血管反応と発汗
自律神経には、活動モードの「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」があります。ホットフラッシュでは、エストロゲン減少により交感神経が過剰に刺激され血管が急激に拡張されます。
これにより、顔や首、胸の皮膚表面に血液が一気に流れ込み、「カーッと熱くなる」「赤くなる」「のぼせる」といった症状が現れます。さらに、体は体温を下げようとするため大量の汗を分泌するように汗腺が働き始めます。
このとき、脳と神経の連携がうまくいっていないと反応が過剰になり、必要以上の発汗や動悸、不安感が強くなることもあります。
動悸や不安感も“神経”の誤作動が原因
ホットフラッシュに伴う動悸や不安感も、脳と神経の混乱による影響です。交感神経が急激に活性化されると、心拍数が上がり、呼吸も浅くなり、胸が苦しく感じることがあります。
こうした反応は、体が「危険を察知した」と誤解しているサイン。実際には危険ではないのに、脳と神経が過敏に反応してしまっている状態ともいえます。
カイロプラクティックで神経伝達のバランスを整える
カイロプラクティックでは、背骨や骨盤を整えることで、脳と全身をつなぐ神経の流れをスムーズにし、自律神経やホルモンバランスの働きを本来の状態に近づけるアプローチをおこないます。神経の流れを整えることで、視床下部や自律神経への神経伝達が安定し、ホットフラッシュの誤作動を軽減させる可能性があります。神経の流れが正常になれば、ホルモンの分泌や体温調整がより安定するようになります。
ホットフラッシュは、体が過剰に反応しているサインである可能性があります。この状態を放置せず、体からの「少し立ち止まって」というサインを受け入れ、自分の体調をしっかり観察することが重要です。忙しい日常の中で自分の体に耳を傾け、必要なケアを行うことで、ホットフラッシュを軽減することができます。
カイロプラクティック・ケアで自分の体調を知り、より効果的な予防策につながります。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。