実は女性ホルモンが影響?歯や口腔の不調とホルモンバランスの関係

「最近、歯ぐきが腫れやすい…」
「口の中が乾燥する」「歯が浮くような感覚がある」
そんな違和感、もしかすると女性ホルモンの変化が影響しているかもしれません。
歯や口腔の健康といえば、虫歯や歯周病が真っ先に思い浮かびますが、実は女性ホルモンの変動が、歯ぐきや口の中の環境に深く関係していることが、最近では明らかになってきました。
今回のコラムでは、口腔内の健康と女性ホルモンの関係性についてお伝えしていきます。
女性ホルモン「エストロゲン」と口腔内の関係
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、骨や皮膚、血管だけでなく、口腔内の粘膜や歯周組織にも影響を与えています。特に更年期に差しかかる40代後半から50代にかけて、エストロゲンの分泌が急激に減少することで、次のような変化が起こりやすくなります。
まず、歯ぐきの血流が悪くなりやすく、歯肉が腫れたり出血しやすくなったりする傾向があります。さらに、エストロゲンは骨の代謝にも関与しているため、減少することで歯を支える歯槽骨の密度が下がり歯がグラグラするといった症状が出ることもあります。
また、唾液の分泌が減少しやすくなり口腔内が乾燥しやすくなることで、口臭や虫歯、口内炎のリスクも増えるのです。
更年期に増える「ドライマウス」や「歯の浮き感」
更年期の女性によく見られる症状の一つに、「ドライマウス(口腔乾燥症)」があります。これは、女性ホルモンのバランスが崩れることで唾液腺の働きが低下し口の中が乾燥してしまう状態です。
唾液は単に潤いを与えるだけでなく、口腔内の自浄作用・抗菌作用にも関わっているため、分泌量が減ると口の中の細菌が繁殖しやすくなり歯周病や虫歯のリスクが高まります。
また、「歯が浮いたような感覚」や「噛み合わせが不安定に感じる」といった感覚も、ホルモンバランスの変化により神経の感受性が過敏になることで引き起こされることがあります。
自律神経との関連も見逃せない
自律神経が乱れると、女性ホルモンにも影響を与えることが分かっています。自律神経は唾液の分泌や血流、免疫機能などを調整しているため、ホルモンバランスの乱れが間接的に口腔内トラブルの原因になることも少なくありません。
「夜中に歯ぎしりをしてしまう」「食いしばりが強くなった」という方も、更年期による自律神経の乱れが背景にあるケースがあるのです。
カイロプラクティック・ケアで内側からケアを
歯の痛みや違和感を、「年齢のせい」「ストレスのせい」と片付けてしまう前に、ホルモンバランスの変化という視点からも体を見つめてみることが大切です。
身体はすべてつながっていて、女性ホルモンの変化はあらゆる部位に影響を与えます。口の中もそのひとつ。だからこそ、ホルモンや神経のバランスを整えるような根本的なケアを意識していくことが、今後の健康を支える大きな鍵になります。
カイロプラクティックでは、背骨や骨盤の歪みを整えることで、神経の流れや自律神経のバランスを整えるアプローチを行います。これにより、唾液の分泌や血流の改善が期待できるほか、身体全体の回復力を高めるサポートになります。
また、ストレスや姿勢の崩れが原因で生じる食いしばり・歯ぎしりの軽減にもつながるため、ホルモンバランスの乱れからくる歯や口腔のトラブルへの対処法の一つとして、カイロプラクティックケアを取り入れてみるのもおすすめです。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。