2025.04.10

更年期と「体の司令塔」である脳の関係性とは?

カテゴリ: 健康通信
更年期と「体の司令塔」である脳の関係性とは?

40代後半から50代にかけて多くの女性が「なんだか調子が悪い」と感じ、悩んでいる方も多いと思います。体がほてったり、汗をかきやすくなったり、気分が沈んだり、眠れなくなったり、これらは全て更年期にともなう不調かもしれません。

一般的には「女性ホルモンの変化が原因」といわれていますが、実はその背景には私たちの体の司令塔ともいえる「脳」が深く関わっています。
特に、感情や自律神経、ホルモンバランスを調整する「視床下部」の働きが心と体の揺らぎに大きな影響を及ぼしているのです。

今回のコラムでは、更年期症状と脳の関係性についてお伝えしていきます。

更年期とは?

更年期とは、卵巣の機能が低下し女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が減少していく時期のことです。閉経を挟んだおおよその10年間を指します。

この時期になるとホルモンの変動が激しくなり、体の内側では体の変化があちこちに現れ始めます。日常の中では急に顔が熱くなるホットフラッシュや、意味もなく汗が出る、動悸がする、体がだるい、肩が重い、寝つきが悪い、突然涙が出るといった症状がみられます。

「年齢のせいかな」と片付けてしまいがちですが、実はこの不調の裏には“脳の混乱”が関係していることが考えられます。

 脳は“体の司令塔”

脳は私たちの体を24時間休むことなくコントロールしています。その中でも「視床下部」は体温、血圧、心拍数、睡眠、感情、食欲などの生命維持に欠かせない機能を管理している、まさに“司令塔”のような場所です。

さらに視床下部はホルモンの調整にも関わっており、脳下垂体と連携して女性ホルモンの分泌をコントロールしています。つまり、女性ホルモンが減少する更年期には、この視床下部が特に影響を受けやすい状態になります。

ホルモン低下→視床下部が混乱→全身に影響

更年期になると卵巣の機能が徐々に変化し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が少しずつ減少していきます。
このホルモンの変化を敏感に察知するのが脳の「視床下部」です。視床下部は、体のホルモンバランスや自律神経の働きを司る重要な中枢であり、エストロゲンが足りないと判断すると、「ホルモンをもっと出して!」という指令を脳下垂体を通じて何度も卵巣に送ります。

しかし、年齢とともに卵巣はゆるやかに役割を終えつつあり、その指令に応えることが難しくなっています。そのためエストロゲンの分泌量は増えません。この“脳からの空振り指令”が繰り返されることで視床下部はパニック状態になり、次第に混乱してしまうのです。

視床下部が混乱すると、それに連動して自律神経のバランスも大きく乱れます。その結果、体温調節がうまくできずに突然のほてりやのぼせ、発汗が起こったり、イライラや不安感、気分の落ち込みといった精神的な不調も現れるようになります。こうした症状は「不定愁訴」と呼ばれ、更年期の代表的な特徴のひとつです。

つまり、更年期に起こるさまざまな不調の根本には、神経の流れが乱れてしまっていることによる視床下部の混乱があるのです。

自律神経から整える更年期ケアの大切さ

更年期の不調を乗り越えるためには、単にホルモンを補うだけでなく、“脳の負担を軽減するために、自律神経を整える”という視点がとても重要です。

脳と体は神経によって情報伝達を繰り返しています。神経がスムーズに働くことが出来ていなければ、脳は体の状態を把握できません。その状態が長期的に放置されていることが更年期のような症状に繋がってしまいます。

カイロプラクティックでは、背骨や骨盤を整えることで、脳と全身をつなぐ神経の流れをスムーズにし、自律神経やホルモンバランスの働きを本来の状態に近づけるアプローチをおこないます。神経の流れを整えることで、脳への神経伝達が安定し、自律神経のバランスの乱れを軽減させるサポートをしています。

自律神経が上手くバランスを保つことでホルモンの働きも安定しやすくなります。このバランスを整えるためには、体の司令塔である“脳”と、体全体のスムーズなコミュニケーションが欠かせません。脳からの指令が正しく伝わり、体の声もきちんと脳に届いている状態が、自律神経の健やかな働きにつながります。

更年期は、女性にとって“第二の成長期”ともいえる大切な節目で、ただ体の不調が現れる時期ではありません。「もう年だから…」とあきらめてしまうのではなく、自分の心や体の声にそっと耳を傾けることが、これからの健康と向き合う第一歩です。さらに、婦人科や内科などの医療機関で定期的な検査を受けることで、自分自身の体についての理解が深まり、より安心して過ごせるようになるでしょう。

更年期という人生の大きな節目を、少しでも心地よく過ごせるよう、カイロプラクティック・ケアを取り入れてみましょう。

中島 恵

執筆者中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。

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