更年期の症状と甲状腺ホルモン・自律神経の関係性とは?

40代以降の女性に訪れる「更年期」。この時期には、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が急激に減少することで、心と体にさまざまな不調が現れやすくなります。ほてりや動悸、不眠、疲労感、気分の落ち込みなどの症状は、更年期の代表的なサインとして広く知られています。
こうした不調の背景には、「自律神経の乱れ」が深く関わっています。自律神経は、体温の調整、内臓の働き、ホルモン分泌など、生命活動を支える多くの機能を司っており、女性ホルモンの減少はその自律神経の働きにも大きく影響を与えます。これによって、体内のバランスが崩れやすくなり、さまざまな不快な症状が現れるのです。
そして、更年期の時期に見落とされやすいのが「甲状腺ホルモン」の影響です。
今回のコラムでは、更年期症状と甲状腺ホルモンの関係性についてお伝えします。
甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンは、首の前側にある甲状腺から分泌され体全体の代謝をコントロールする役割を担っています。このホルモンは、体温の維持、脳の働き、筋肉や心臓の活動、皮膚や髪の健康、そして消化機能にまで影響を与える非常に重要なホルモンです。
甲状腺ホルモンの働きは、女性ホルモンや自律神経とも密接に関係しています。特に更年期の時期には、この三つのバランスが大きく揺らぎやすくなり体調にも大きな変化をもたらします。
更年期の症状と甲状腺ホルモンの深い関係
更年期に現れる体の不調の中には、実は甲状腺機能の低下、または亢進が関係しているケースも少なくありません。しかし、更年期障害と甲状腺機能低下や亢進の症状は非常によく似ているため見逃されてしまうことが多いのです。
たとえば、常に体がだるく感じたり、今までと変わらない食生活にもかかわらず体重が増えてしまったりすることがあります。また、顔や手足がむくみやすくなったり、冷えを強く感じるようになることもあります。髪の毛が細くなり抜けやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったり、便秘が続いたりすることもみられます。さらに、月経のリズムが乱れたり、出血量が変化したりすることもあります。
これらの症状がすべて、加齢や更年期のせいだと考えてしまいがちですが、実は甲状腺ホルモンの分泌異常が関わっている可能性があるのです。特に女性は男性に比べて甲状腺疾患にかかりやすく、40代〜50代の女性に多く見られることから、更年期と重なる時期に注意が必要です。
自律神経との関係性
更年期に現れやすい代表的な症状には、突然顔が熱くなる「ほてり(ホットフラッシュ)」や多量の発汗、動悸、不安感やイライラ、不眠、慢性的な疲労感などがあり個人差はあるものの、多くの女性がこれらの症状に悩まされています。
これらの不調の背景には、自律神経のバランスの乱れが大きく関わっています。自律神経は、私たちの意思とは関係なく体のさまざまな働きを調整する神経で、呼吸や心拍、体温の調整、消化、ホルモン分泌などに関わっています。女性ホルモンが減少すると、この自律神経の働きが不安定になりやくす、心身ともに不調を感じやすくなります。
更年期の時期には「女性ホルモン」「甲状腺ホルモン」「自律神経」という3つのバランスが密接に関わり合いながら、身体全体に影響を与えていること分かります。
更年期の症状とカイロプラクティック・ケア
更年期の時期をより快適に乗り越えるためには、自律神経のバランスを整えることがとても重要です。副交感神経が優位な「リラックスモード」と交感神経優位な「活動モード」が無意識にバランスが取れていることでホルモンの働きも安定しやすくなります。
自律神経のバランスが整うためには、体の司令塔である脳と体のコミュニケーションを取れていることが重要となります。
更年期は、女性にとって第二の成長期ともいえる大切な時間です。「年齢のせいだから仕方ない」とあきらめずに自分の心と体の声に耳を傾けることが、これからの健康を支える第一歩になります。
日常的なケアとしてカイロプラクティックを取り入れることで、自律神経とホルモンのバランスをサポートし、心地よい毎日を取り戻すきっかけをサポートします。そして、婦人科や内科などの医療機関での定期的な検査を併用することで、より自分の体を知ることに繋がります。
これからの人生をもっと自分らしく健やかにすごすために、体の内側から整えるケアを、ぜひ日常にカイロプラクティック・ケア取り入れてみてください。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。