更年期症状のホットフラッシュと自律神経の関係性とは?

更年期に現れるホットフラッシュは、突然体温が上昇し、顔や上半身が熱くなる感覚が生じます。これに伴い、汗をかいたり顔が赤くなったりといった症状が現れることが多いです。ホットフラッシュは通常、数秒から数分続きますが、その間に体が急激に温度を変化させるため、寒気を感じることもあります。これらの症状は女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少に起因しており、さらに自律神経の乱れが大きな影響を与えています。
今回のコラムでは、ホットフラッシュと自律神経の関係性をお伝えしていきます。
自律神経とは?
自律神経とは、私たちが意識しなくても、身体のさまざまな生理的機能を調節する神経系のことです。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経から成り立っています。
交感神経
活動時に優位に働く神経です。体を活発にさせるために、心拍数を増加させたり、血圧を上げたりします。ストレスや興奮などの状態で活発に働きます。
副交感神経
休息時に優位になる神経です。リラックス時に働き、心拍数を減少させ、消化活動を促進するなど、体をリラックスさせる働きがあります。
この2つの神経は、体内でバランスを保ちながら働いており、私たちの体がどのような状態にあるのか、無意識のうちに調整しています。
ホットフラッシュの具体的なメカニズム
エストロゲンが減少すると体温調節中枢が混乱し、「体温が上がった」という誤った信号が脳から自律神経に伝わります。実際には体温が上昇していなくても、脳は体温が高いと認識してしまうのです。
これにより交感神経が過剰に働き、血管が急激に拡張します。この血管拡張が、顔や上半身に現れるほてりやのぼせを引き起こすのです。同時に、体温を下げようとする体の反応で大量の汗が分泌されます。また、血管の急激な拡張により、動悸や不安感を感じることもあります。
女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少
更年期を迎えると卵巣機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。このエストロゲンには、体温を一定に保つ働きがあります。実は、エストロゲンは脳の「視床下部」という部位にある体温調節中枢に作用し、体温調整をサポートしているのです。
ところが、エストロゲンが減少すると、視床下部の体温調節機能が不安定になります。この結果、少しの温度変化や精神的なストレスにも過剰に反応してしまうことになります。これが、ホットフラッシュを引き起こす大きな原因の一つです。
視床下部と自律神経の密接な関係
視床下部は体温調節だけでなく、自律神経系の中枢としても機能しています。自律神経系は、呼吸、心拍、消化、発汗など、生命維持に必要な機能を無意識のうちにコントロールしています。つまり、視床下部は体温調整の司令塔であり、自律神経のバランスも司っています。
エストロゲンが減少することで視床下部の働きが乱れると、体温調節だけでなく、自律神経全体のバランスも崩れてしまいます。自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っており、このバランスが崩れると、血管の収縮や拡張のコントロールがうまくいかなくなります。結果として、ホットフラッシュが引き起こされるのです。
ホットフラッシュと自律神経に対するカイロプラクティック・ケア
自律神経の働きが乱れると体温調節が過敏に反応し、体内の温度が急激に上昇してしまいます。この現象はエストロゲンの減少が関係しており、脳が誤った信号を送ることで必要以上に体温が上がってしまうためです。このような乱れが続くと、頻繁にホットフラッシュを経験することになります。
自律神経系が乱れると、ホットフラッシュの症状により影響を与えます。脳と体の神経伝達がうまく行われていない場合、血管が過度に拡張し顔や体が急に熱くなる感覚に襲われます。これが自律神経のバランスが崩れている体からのサインであり、体が熱く感じるだけでなく動悸や不安感を伴うこともあります。
カイロプラクティックでは、背骨や骨盤の神経圧迫を取り除き、神経伝達を円滑にすることで、自律神経の働きを整えます。脳と自律神経の情報のやり取りがスムーズになり、ホットフラッシュが和らぐことに繋がります。神経の流れが正常になれば、ホルモンの分泌や体温調整がより安定するようになります。
「フェムテック」という言葉が最近注目されています。これは女性の健康管理をサポートするテクノロジーを指します。ホットフラッシュをはじめとする更年期症状を記録したり、ホルモンの変化を把握したりするためのツールが増えており、自分の体調や体温の変動を観察することができます。これにより、ホットフラッシュが発生しやすいタイミングを知ることができ、予防のための対策を取ることが可能になります。
ホットフラッシュは、体が過剰に反応しているサインである可能性があります。この状態を放置せず、体からの「少し立ち止まって」というサインを受け入れ、自分の体調をしっかり観察することが重要です。忙しい日常の中で、自分の体に耳を傾け、必要なケアを行うことで、ホットフラッシュを軽減することができます。
カイロプラクティック・ケアでホットフラッシュを予防し、症状を軽減するために自分の体調を知ることがより効果的な予防策につながります。

執筆者中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師資格取得後、2007年から2018年まで柔道整復師として接骨院勤務。その後、勤務地を横浜に変え整骨院で勤務。
シオカワスクールの哲学教室で塩川雅士D.C.からカイロプラクティックの自然哲学を学んだことや、塩川カイロプラクティック治療室で実際の臨床現場を見学させていただいたことで、哲学・科学・芸術の重要性を知る。
現在は、前田カイロプラクティック藤沢院での診療を通じて地域社会の健康に寄与しながら、シオカワスクールでは女性初のインストラクターとして後任の育成にも力を入れている。
自分自身が女性特有の悩みで悩んでいた経験を活かし、誰にも相談できずにどこへ行っても改善されずに悩んでいる女性に寄り添えるようなカイロプラクターを目指している。